Suiの動向2025Q2:DeFi急成長と次世代ブロックチェーンの展望

Sui(スイ)は、2023年5月にローンチされた次世代ブロックチェーンプラットフォームです。高いスケーラビリティと低遅延取引を実現するように設計されており、大規模な普及を目指しているシステムです。この記事では、2025年第2四半期(4月〜6月)におけるSuiの成長と発展について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

目次

Suiの特徴と技術的優位性

Suiブロックチェーンは、従来のブロックチェーンの課題を根本的に解決する革新的な技術アーキテクチャを採用しています。

1. オブジェクト指向データモデル:並列処理による高速化

Ethereumなどの従来のブロックチェーンで使用されるSolidity言語は「順次処理」を採用しており、取引を一つずつ順番に処理する必要がありました。これにより処理速度が遅く、ガス料金も高くなる問題がありました。しかし、Suiは違います。言語にSui Moveというオブジェクト指向データモデルを使用しており、独立したオブジェクト(デジタル資産)を「並列処理」可能です。
例えば次の送金を処理するとしましょう。

  • AさんからBさんへの送金
  • CさんからDさんへの送金

これら2つの取引が互いに影響しない場合、Suiでは同時に処理できるため、ネットワーク全体の処理能力が大幅に向上します。

2. Mysticeti合意メカニズム:究極の低遅延を実現

Suiは独自開発の「Mysticetiミスティチェティ)」合意メカニズムを採用しています。この技術により、次の効果が得られます。

  • 超高速確認: 取引確認時間を大幅短縮
  • 高スループット: 大量の取引を同時処理
  • 低遅延: リアルタイムアプリケーションに最適

3. Move on Sui:次世代スマートコントラクト言語

Move言語は、Meta(旧Facebook)のDiemプロジェクトで開発された言語をSui向けに拡張したものです。これによって様々なメリットがあります。

セキュリティ面での優位性

  • OWASP Top 10対策: スマートコントラクトの主要脆弱性10項目のうち5項目を完全に排除
  • 残り3項目も部分的軽減: 従来言語より圧倒的に安全
  • リソース指向プログラミング: デジタル資産の紛失や複製を言語レベルで防止

開発者にとってのメリット

  • より安全なスマートコントラクト開発が可能
  • バグによる資産損失リスクを大幅削減
  • 柔軟性と表現力に優れた開発環境

4. 委任プルーフオブステーク(DPoS):効率的な検証システム

Suiは「委任プルーフオブステーク(DPoS)」という合意メカニズムを採用しています。

仕組みの概要

  • SUiトークン保有者がバリデーター(検証者)に投票
  • 選出されたバリデーターが取引の検証を実行
  • エネルギー効率が高く、環境に配慮

2025年第2四半期の検証状況

  • アクティブバリデーター数:117(Q1 2025の113から着実に増加)
  • ナカモト係数:19(Q1 2025から5.6%上昇。多くのPoSネットワークの中央値を上回る分散性)

市場パフォーマンス:仮想通貨市場を上回る成長

時価総額の飛躍的成長

2025年第2四半期において、Suiは素晴らしい市場パフォーマンスを記録しました。

SUI MCap 2025-1 ~ 2025-6
  • 時価総額: 前四半期比31.3%増の94.4億ドルに到達
  • 市場順位: 時価総額ランキングで12位に上昇(前四半期から1つ順位アップ)
  • 市場比較: 仮想通貨市場全体の23.5%成長を大幅に上回る成績

取引手数料とネットワーク活動の活性化

Suiネットワークの利用が活発化していることは、手数料の増加からも明らかです。

Chain fee (SUI)
  • 総手数料収入: 前四半期比19.0%増の430万ドル
  • SUI建て手数料: 前四半期比35.7%増の140万SUI

この数字は価格上昇だけでなく、ネットワーク利用の実質的な増加を示しています。

トークン供給量とインフレーション動向

Suiトークンの供給構造を理解することは、長期的な投資判断において重要です。

基本的な供給構造

  • 総供給量: 100億SUI(固定)
  • ステーキング報酬用: 10億SUI(別途確保)
  • 年間インフレ率: 0.25%(2025年第2四半期末時点)

Suiの年間インフレ率は3ヶ月ごとに10%ずつ減少し、10億のステーキング報酬トークンがすべて配布されるまで継続されます。

第2四半期のトークンアンロック状況

2025年第2四半期には、以下のスケジュールでトークンのアンロック(市場流通開始)が実施されました。

アンロック対象4月1日5月1日6月1日
エコシステム1260万SUI
(コミュニティ準備金)
4240万SUI1260万SUI
チーム1250万SUI
(初期貢献者・
Mysten Labs財務)
1210万SUI1210万SUI
個人投資家3920万SUI1930万SUI1930万SUI
ステーキング報酬1600万SUI1430万SUI1430万SUI
合計8020万SUI
約2億2290万ドル相当
8820万SUI
約2億4510万ドル相当
5840万SUI
約1億6230万ドル相当5

第2四半期アンロック総計

  • 総アンロック量: 2億2670万SUI(総供給量の2.27%)
  • ドル換算価値: 約6億2990万ドル

ステーキング状況と実質利回り

2025年第2四半期末時点で、対象供給量の76.4%がステーキングされており、前四半期比1.2%減少しました。

注目すべきポイント:

  • ロックされたトークンでもステーキング可能
  • ステーキング対象は流通供給量ではなく総供給量
  • 高いステーキング率により、年間実質利回りは-0.12%とわずかにマイナス

このマイナス実質利回りは、インフレ調整後の収益率を示しており、高いステーキング参加率がもたらす自然な結果です。

DeFi(分散型金融)エコシステムの爆発的成長

TVL(Total Value Locked)の急増

TVLとは「プロトコル内にロックされた資産の総価値」を意味し、DeFiプロトコルの規模と信頼性を測る重要な指標です。

TVL(USD)

2025年第2四半期のSui DeFiエコシステムは目覚ましい成長を遂げました。

主要DeFiプロトコル詳細解説

1. Suilend(スイレンド):Sui DeFiのフラッグシップ

Suilendは、Suiブロックチェーン上最大のレンディングプロトコルです。ユーザーは仮想通貨を預けて利息を獲得したり、担保を差し入れて他の通貨を借り入れることができます。

主要サービス構成

コアレンディング機能

  • 預金(Supply): 仮想通貨を預けて安定した利息収入を獲得
  • 借入(Borrow): 担保を差し入れて必要な通貨を借り入れ
  • 担保管理: 自動清算システムによるリスク管理

革新的特徴

  • 借入手数料0.0%: 業界最低水準のコスト構造
  • 複合的利息: 預金利息が自動で再投資され複利効果を実現
  • フラッシュローン対応: 瞬時に大額資金を借り入れ、同一取引内で返済

2025年第2四半期の実績

  • TVL: 5億4890万ドル(前四半期比51.6%増)
  • 市場シェア: 31.2%(Sui DeFi市場で圧倒的首位)
  • 総スワップ取引量: 6億ドル達成

STEAMM:次世代AMM統合

  • コンセプト: 「スーパーフルイド」自動マーケットメーカー
  • 成果: ローンチから3ヶ月でTVL 1500万ドル
  • 特徴: レンディングと流動性提供を一体化

2. NAVI プロトコル:急成長のイノベーター

NAVIプロトコルは、ユーザーフレンドリーな設計と革新的な金融サービスで急成長を遂げているレンディングプラットフォームです。

コア機能とサービス

レンディングプラットフォーム

  • マルチアセット対応: 主要な仮想通貨の預金・借入に対応
  • 動的金利システム: 需給に応じて自動調整される金利
  • リスク管理: 高度なオラクルシステムによる価格監視

ユーザーエクスペリエンス革新

  • UI/UX全面リデザイン: DeFi初心者でも直感的に操作可能
  • ワンクリック操作: 複雑な取引を簡単なステップで実行
  • リアルタイム分析: ポートフォリオ状況の即座な把握

2025年第2四半期の成果

  • TVL: 4億9840万ドル(前四半期比63.7%増、最高成長率)
  • 市場シェア: 28.3%(Suilendに迫る勢い)
  • 借入総額突破: 2億ドルのマイルストーン達成

NAVXトークンエコシステム

  • ガバナンストークン: プロトコルの意思決定に参加
  • Binance Alpha上場: 機関投資家からの注目度急上昇
  • ステーキング報酬: トークン保有者への追加インセンティブ

Astros統合プラットフォーム

  • アグリゲーター機能: 複数のDeFiプロトコルを一元管理
  • パーペチュアル取引: デリバティブ取引のベータ版提供
  • ワンストップソリューション: レンディングから取引まで統合

3. SpringSui:リキッドステーキングの革命

SpringSuiは、Suilendが提供するリキッドステーキングプロトコルです。従来のステーキングでは資産がロックされる問題を解決し、ステーキング中の資産も取引可能にします。

革新的な仕組み

リキッドステーキングトークン(LST)

  • 概念: ステーキングしたSUIを表すトークンを発行
  • 流動性: LSTは取引所で売買可能、資産のロック期間なし
  • 収益性: ステーキング報酬を受け取りながら他の投資も可能

パーミッションレス設計

  • 誰でも作成可能: 2025年第2四半期からLST作成が完全開放
  • 多様性: 四半期末時点で200以上のLSTが作成済み
  • イノベーション促進: コミュニティ主導の新しいステーキング戦略

3つのプロトコルの相互関係と戦略

エコシステム内での役割分担

  • Suilend: 市場リーダーとして安定性と規模を提供
  • NAVI: イノベーションと成長性でチャレンジャーの地位
  • SpringSui: ステーキング市場の革新により全体の底上げ

機関投資家の関心増大

ETF(上場投資信託)申請の動向

機関投資家のSuiへの関心が高まっていることは、複数のETF申請からも明らかです。

  • Grayscale SUI Trust: 4月23日にローンチ、適格投資家向けにSUIへの規制された投資機会を提供
  • 21Shares: 5月にSUIスポットETFの申請を実施

主要取引所・ウォレットでの採用拡大

取引所での採用

  • Interactive Brokersが160以上の国でSUI取引を開始
  • KrakenとMEXCがSui上のネイティブUSDCサポートを開始

ウォレットでの統合

  • PhantomウォレットがSuiを完全サポート(Move基盤ブロックチェーンとして初)
  • LedgerがLedger Live内でSUIおよびSui基盤トークンのサポートを開始

ゲーミングとNFT分野での進展

SuiPlay0X1:ブロックチェーンゲーム専用デバイス

Suiの携帯ゲーム機「SuiPlay0X1」の予約が完売し、2025年夏の出荷予定です。価格は599ドルで、従来のゲームとブロックチェーンネイティブゲームの両方をサポートします。

主要ゲームタイトルのローンチ

ONE Fight Arena 4月29日、世界最大の格闘技団体ONE ChampionshipがWeb3対応モバイルゲームをローンチ

Samurai Shodown R 6月24日、SNKとLumiWaveが開発したPvP剣術ゲームのオープンベータ版がスタート

まとめ:Suiの未来への展望

2025年第2四半期のSuiは、あらゆる面で顕著な成長を遂げました。主なハイライトは以下の通りです。

  1. 市場パフォーマンス: 時価総額31.3%増、仮想通貨市場全体を上回る成長
  2. DeFiエコシステム: TVL 44.3%増、DEX取引量過去最高記録
  3. 機関投資家の参入: 複数ETF申請、主要取引所・ウォレットでの採用拡大
  4. 技術革新: Nautilus、Sui Proverなど画期的技術のローンチ
  5. ゲーミング・NFT: SuiPlay0X1予約完売、大型ゲームタイトル続々登場

Suiは単なる仮想通貨プロジェクトを超え、次世代のデジタルインフラストラクチャとして確固たる地位を築きつつあります。特に、高いスケーラビリティ、優れたユーザーエクスペリエンス、そして革新的な技術により、Web3の大規模普及を実現する可能性を秘めています。

今後もSuiエコシステムの発展から目が離せません。分散型インフラストラクチャのスケーリング、BTCfiの進展、実世界との統合拡大、そして次世代ユーザー向けアプリケーションの構築に向けて、着実に歩みを進めていくでしょう。

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