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1. RWA(リアルワールド資産):Stellarは世界第3位の発行規模へ
2025年5月末時点で、ステーブルコインを除くRWA発行額は5億2,880万ドルに到達し、StellarはEthereum(72億ドル)、ZKsync Era(22億ドル)に次ぐ世界第3位のRWAネットワークとなりました。
その市場価値の92%以上を占めるのが「BENJI」です。
BENJIは、Franklin Templetonのオンチェーン米国政府マネーファンド(FOBXX)の1口を表すトークンで、FOBXXは資産の99.5%以上を米国政府証券、現金、または米国政府証券で完全担保されたレポ取引に投資しています。
1口の価値は米ドルにペッグされ、利回りは自動的に再投資されて追加口数として反映されます。
投資家は、Franklin TempletonのBenji投資プラットフォームを通じてBENJIを取得でき、Stellarや他の対応チェーン上のウォレットで保有可能です。
FOBXXは2021年4月にStellarで初めて発行され、ブロックチェーン上で提供された初の規制対象マネーマーケットファンドとなりました。
さらに2025年2月には、ルクセンブルク当局の承認(2024年10月取得)を受け、gBENJI(グローバルBenji)として米国外の投資家向けに提供地域を拡大。現在はオーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、リヒテンシュタイン、オランダ、スペイン、スイスで利用可能です。
BENJIに続く主要RWA銘柄
- SPXU(WisdomTree発行)
WisdomTree 500 Indexに連動。米国の時価総額上位500社で構成。 - TECH(WisdomTree発行)
WisdomTree Technology and Innovation 100 Indexに連動。米国の時価総額上位100のテック企業に投資。 - BB1(Bitbond Finance GmbH発行)
ドイツの利付債券をトークン化。利息・元本はユーロ額をXLMに換算してXLMで支払い。 - CETES(Etherfuse発行)
メキシコの短期国債ファンドをトークン化。2025年5月末時点の時価総額は230万ドル。
WisdomTreeは他にも、FLTTX(変動金利米国債ファンド)、WTGOLD(金トークン)、WTGXX(政府マネーマーケットファンド)、WTTSX(3〜7年米国債ファンド)など複数のRWAをStellar上で提供しています。
トークン化国債市場におけるStellarの位置づけ
RWA.XYZのデータによれば、2025年5月末時点で全ブロックチェーン上のトークン化国債総額は71億ドル。
ネットワーク別シェアは以下の通りです。
- Ethereum:55億ドル(市場シェア77.6%)
- Stellar:4億8,320万ドル(市場シェア6.8%)
- Solana:3億820万ドル(市場シェア4.3%)
Stellarは、トークン化国債の分野でも世界第2位に位置し、特に規制に準拠した資産運用商品をオンチェーンで提供できるインフラとして評価が高まっています。
2. データで見るネットワーク拡大と取引活性
ネットワークの稼働安定性とパフォーマンス

Stellarネットワークの平均台帳クローズ時間は5.84秒で、主要ブロックチェーンの中でも高速な処理能力1を誇ります。さらに注目すべきは、2182日間(約6年間)連続でネットワーク停止がないという事実です。これは、単に速いだけでなく、信頼性・耐障害性の高さを証明しています。
また、これまでに処理された総オペレーション数は188億件超に達し、その規模はすでに世界的な決済ネットワークと比較しても遜色ないレベルです。加えて、ユニークアドレス数は930万件以上、そのうち2025年Q1には月間アクティブアドレスが約94.2万件と、単なるウォレット開設数ではなく実際の利用も堅調に推移していることがわかります。
これらの指標は、Stellarが単なる実験的プロジェクトを超えて、「安定稼働する実用的な金融インフラ」として機能していることを示唆します。特に高速な処理速度と長期の無停止稼働実績は、国際送金やリアルワールドアセット(RWA)のオンチェーン化といった金融用途での採用を後押しする要因となるでしょう。
ネットワークパフォーマンスと開発ペースの向上
Stellar Development Foundation(SDF)は、技術的にも大幅な改善を進めています。
- 高スループット対応:秒間5,000件のトランザクション処理、ブロック生成までの時間2.5秒を目指したロードマップを公表し、開発を進行中。
- 多様な開発ツールの整備:「Contract Copilot」(スマートコントラクト支援)、CLI(コマンドライン)改善、企業向け一括送金機能(Disbursement Platform)など、新機能が導入されています。
3. PayFiとのシナジー:決済と金融をつなぐStellarの新たな成長領域
PayFi(Payment Financing)とは、送金や決済だけでなく、信用供与、貿易金融、国際送金などの金融機能を、ブロックチェーンとステーブルコインの活用によって、より安全・効率的・アクセス可能にする取り組みです。Stellarはこの分野で先行しており、複数のユースケースがすでに稼働しています。
代表的な事例
- Pelago(PolyFlow):サプライチェーン金融やB2B決済向けに、Soroban(Stellarのスマートコントラクト基盤)を用いた決済チャネルを構築。USDCなどでほぼ即時・無料の決済を実現。
- Airtm:米ドル建てデジタル口座を世界中で提供し、16か国の銀行口座に直接送金可能。2024年には12億ドル相当のステーブルコイン取引を処理。
- Félix:WhatsApp経由で米国からラテンアメリカへ送金可能。USDCで着金し、現地通貨に即換金。全プロセスは平均1分未満。
- Fonbnk:モバイルプリペイド残高をステーブルコインへ交換し、ウォレット入金や現地通貨換金、DeFi利用が可能。
- MoneyGram International:世界規模の送金・決済をStellarと統合。
- Transparent Network(TPN):ウクライナ初の国家即時決済システムをブロックチェーン上に構築。
- Vesseo:アルゼンチンなど高インフレ国で、USDCによる貯蓄・決済・米国仮想口座開設を提供。
シナジーの展望
今後、RWA(実世界資産)のトークン化がさらに進めば、PayFiは単なる決済や融資にとどまらず、国境を越えた資産運用・金融商品の提供まで射程に入ります。
Stellarの高速・低コスト・高信頼性という特性は、このグローバルな金融進化を下支えする「決済と金融のハブ」としての役割を強化していくでしょう。
4. まとめ
指標 | 数値(2025年第1四半期) | 意義 |
---|---|---|
総オペレーション数 | 188億件以上 | 利用の裾野が広がり続けている |
アクティブアドレス数 | 約94.2万件 | 利用者の定着と成長が進む |
RWA資産流通額 | 約30億ドル | 実世界資産のオンチェーン化が加速 |
RWA決済総額 | 34億ドル | 実用的な価値交換が定着 |
ネットワーク性能向上 | 秒間5,000TPS目標など | インフラの信頼性と拡張性が向上中 |
2025年第1四半期におけるStellarは、これまでの「送金プラットフォーム」という枠を越え、金融インフラとしての信頼性と利便性を象徴する存在へと進化を遂げています。特に資産のトークン化(RWA)と、それを活用した価値交換が増加している点は、他のブロックチェーンとは一線を画しています。
- Ethereumは12s
Solanaは0.4s ↩︎