2025年第2四半期、Solana(ソラナ)はDeFi分野で着実な成長を遂げ、「アプリケーション収益キャプチャ率」の飛躍的な改善やリアルワールドアセット(RWA)の拡大など、エコシステムの多面的な進化が目立った四半期でした。本記事では、Messariのレポートを軸に、数字と背景を紐解きながら、その意味と今後の展望を整理します。
1. Chain GDPとアプリ収益捕捉率(App RCR)
2025年第2四半期、SolanaのChain GDP(アプリケーション収益の総額)は約5億7,640万ドル($576.4M)となり、前四半期の10億ドル($1.0B)から44.2%減少しました。ネットワーク全体の取引熱が一服し、アプリ収益は大きく縮小しています。
一方で、注目すべきはApp RCR(Application Revenue Capture Ratio:アプリ収益捕捉率)です。これは、ネットワークが生み出した「実質的経済価値(REV)」に対して、アプリがどれだけの収益を獲得できたかを示す指標で、次の式で表されます。
この比率は、Q1の126.5%からQ2には211.6%へと急伸しました。つまり、ユーザーがトランザクションで100ドルの価値を生み出した場合、アプリ側は平均で211.6ドルを収益化している計算になります。収益総額は減少したにもかかわらず効率が大幅に高まっているのは、アプリのビジネスモデルがより巧妙に進化していることを示しています。
実際に、主要アプリの収益動向を見ると違いが際立ちます。ミームコイン系アプリPumpFunは約1.57億ドルで前期比–43.9%と減収し、ウォレットのPhantom(–65.4%)や取引所フロントエンドのPhoton(–72.4%)も大きく後退しました。その一方で、Axiomは6倍以上の成長を遂げ約1.27億ドルを記録し、急成長アプリとして存在感を強めています。
2. DeFiの動向
2025年第2四半期、SolanaのDeFiは引き続き強い成長を見せました。
TVL(Total Value Locked:預かり資産)は前期比+30.4%の86億ドルに達し、Ethereumに次ぐ第2位の地位を維持。2024年11月にTRONを抜いた後も、その差を広げています。
ステーブルコイン動向
Solana上のステーブルコイン時価総額は前期比–17.4%の103億ドルに減少しました。依然としてネットワーク別ランキングでは第3位を維持していますが、Q2は調整局面となりました。
今年に入ってからの成長を牽引したのは、1月17日にローンチされたTRUMPトークンです。これによりSolanaには大量の流動性が流入し、USDCを軸とする高流動性ペアが形成されました。Q2にステーブルコイン全体の規模は縮小したものの、依然として多くの資本がネットワーク上に留まっている点は注目に値します。
個別銘柄を見ると、
- USDC:時価総額72億ドル、前期比–25.2%、シェア69.5%。依然として最大シェアを誇るが縮小。
- USDT:時価総額23億ドル、シェア22.4%、前期比変化なし。安定を維持。
- FDUSD:時価総額3.0億ドル、前期比+192.3%。急速に存在感を拡大し、第3位にランクイン。First Digital Labsが発行母体です。
このデータから見えるのは、USDC依存度の高さと新興ステーブルコインの台頭です。特にFDUSDの伸びは、Solanaが複数のステーブルコイン基盤を持つことでリスク分散と流動性拡張を実現しつつあることを示しています。
RWAの拡大:実需資産がSolanaへ流入
Solana上の実世界資産(RWA)は、Q2終了時点で3億9,060万ドルに到達し、年初来で124.8%の増加を記録しました。特に以下のプロジェクトが存在感を高めています。
- Ondo Finance – USDY
2023年8月にローンチされた国債・銀行預金担保のトークン。利回り付きステーブルコインとして機能し、金利が価格に反映される仕組みを持ちます。LayerZeroを介してクロスチェーン転送が可能で、DeFiでの利用性も高い。2025年7月時点で時価総額1億7,530万ドル、6,978人のホルダーを抱え、Solana最大のRWAトークンに。 - Ondo Finance – OUSG
BlackRockのBUIDLファンドを基盤としたトークン化ファンドで、適格投資家向け。2025年7月時点で時価総額7,960万ドル、7人のホルダーで第2位。 - ACRED
Apollo Global Managementのプライベートクレジットファンドをトークン化。2025年5月にSecuritizeと提携しSolanaで発行され、KaminoやDrift InstitutionalなどDeFiとも統合。7月時点で時価総額2,690万ドル、8人のホルダー。 - BlackRock – BUIDL
米ドルマネーマーケットファンドをトークン化。2025年3月にSolanaへ展開され、時価総額2,520万ドルで第4位。大手伝統金融による最初の本格的なRWA導入事例の一つ。
さらに、R3によるCordaのSolana対応や、KrakenとBackedによる米国株トークン化(xStocks)、Maple FinanceのsyrupUSDCの登場など、従来の金融市場とSolanaをつなぐ試みが次々と進行しています。特にxStocksはリリースからわずか1週間で4万5,700以上のホルダーを獲得し、5,170万ドル規模へ拡大しました。
こうした動きは、Solanaが単なる高速チェーンにとどまらず、DeFiと伝統金融を接続するハブとして位置づけられつつあることを示しています。
3. Solanaの金融動向と市場の広がり
時価総額の拡大
2025年第2四半期(Q2)、SOLの循環時価総額は前期比29.8%増の828億ドルに達しました。依然として暗号資産全体で第6位(BTC、ETH、USDT、XRP、BNBに次ぐ順位)を維持しており、Solanaの存在感は大手銘柄と並ぶ水準に定着しています。
実質経済価値(REV)の減少
一方で、ネットワークの実質的な経済活動を示す Real Economic Value(REV) は減少しました。REVは「投票手数料・基本手数料・優先手数料・MEVチップ1」の合計で計算されますが、Q2はSOL建てで53.9%減少し180万SOL(約2億7,230万ドル)にとどまりました。そのうち 54.5%はMEVチップによるもので、残りはトランザクション手数料です。
これは、ネットワーク利用が引き続き高水準である一方、手数料水準の低下や効率化が進んでいることを示しています。Solanaが「低コストでスケーラブルなチェーン」としての特徴を守りつつある証拠と見ることもできます。
Solana ETFの登場
2025年6月27日、米国SECはRex Ospreyによる Solana Staking ETF(ティッカー:SSK) を承認しました。7月2日から取引が開始され、ETF資産の一部はリキッドステーキングトークン「JitoSOL」に投資される予定です。
これは米国で初めて承認された「ステーキング型ETF」であり、Solanaの金融商品化における大きな一歩といえます。
さらに、InvescoやGalaxyを含む 9社がSolana現物ETFを申請中で、最速では2025年10月に承認可否が発表される見込みです。もし承認が進めば、SOLへの機関投資家マネー流入がさらに拡大する可能性があります。
デジタル資産を保有する企業の動き
Solanaは個人投資家だけでなく、企業による資産戦略の中心にもなりつつあります。カナダのCypherpunk Holdingsは2024年9月に 「SOL Strategies」へ社名変更し、MicroStrategyのビットコイン戦略を彷彿とさせる「SOL特化戦略」を展開しています。同社はトークン保有に加え、ステーキングやエコシステム投資も進めており、2025年6月時点で 420,707 SOLを保有。さらにバリデータ運営にも参入し、人気サイト「stakewiz.com」を運営していたLaineを含む3つのバリデータを買収しました。
同様の動きは他社にも波及しており、2025年4月にはDeFi Development Company(旧Janover)、Upexi、GSR、Galaxy Digitalといった企業が次々とSolanaへの投資方針を発表しました。特にDeFi Development Companyは 62万SOL超を保有しており、企業による資産基盤としてのSolana活用が急速に広がっています。
4. まとめと展望
2025年上半期のSolanaは、技術的な成熟と経済的基盤の拡大 が同時に進行した時期だったといえます。DeFi領域ではRWAやステーブルコインを中心に現実世界との接続が深まり、NFTやSocialFiが一定の役割を維持する中で、GamingやDeSciといった新領域が牽引力を増しつつあることが確認されました。
金融面では、循環時価総額の増加やETF承認、さらには企業によるSOL保有の拡大など、機関投資家や企業が積極的にSolanaに参入する兆しが鮮明になっています。これは、単なる「高速で安価なブロックチェーン」という評価を超え、Solanaがグローバル金融インフラの一部になりつつあることを意味します。
もっとも、REVの減少やMEVチップ依存といった課題も見逃せません。利用の広がりと収益モデルの持続性をどう両立させるか が、今後の焦点になるでしょう。
総じて、Solanaは「個人開発者が自由に遊べる場」から「企業や金融機関が本格参入する舞台」へと進化を遂げつつあります。2025年後半には、現物ETFの承認可否、企業投資の加速、新しいアプリケーション分野での成功が重なり、次なる成長フェーズへの入口が見えてくるはずです。
- MEVチップ(MEV tips):
MEV(Maximal Extractable Value)は、ブロック生成者が取引順序を操作することで得られる追加利益のことです。ユーザーや取引ボットは、自分の取引を有利な位置に入れるために追加の報酬を支払うことがあり、これが「MEVチップ」と呼ばれます。Solanaでは、このMEVチップがバリデータへの報酬源のひとつになっています。 ↩︎