概要
Solanaは、2017年にAnatoly Yakovenko(元Qualcommのエンジニア)によって構想され、2020年3月にメインネットがローンチされたL1ブロックチェーンです。設計思想は徹底したスケーラビリティの実現。多くのL1が分散性やセキュリティとのトレードオフの中でスケーラビリティを追求しているのに対し、Solanaは独自の時間同期アルゴリズム「Proof of History(PoH)」を採用することで、レイヤー1単体での高速処理に挑戦しています。
現在のSolanaは、DeFi、NFT、ゲーム、モバイルアプリ領域に至るまで幅広いユースケースを有し、Ethereumに次ぐアクティブなエコシステムのひとつに成長しました。2022年のFTX崩壊によって一時は深刻なダメージを受けましたが、2024年以降はTVL・取引数ともに回復基調を見せ、再評価されつつあります。
ネットワークとエコシステムの開発と成長は、非営利団体のSolana Foundation、営利団体のSolana Labs、そしてAnza、Colosseum、Helius、Superteamなどのさまざまな組織にサポートされています。ソラナは、DeFi、コンシューマー、DePIN、支払いなど多くの分野にわたるプロジェクトを持っているのが特徴です。
特徴
高スループットを支える技術スタック
ソラナ(SOL)は、高速で効率的なブロックチェーンネットワークを目指しており、その技術基盤は高いスループットを支えています。Proof-of-History(PoH)という独自の仕組みにより、トランザクションの順序を正確に保証し、TurbineやQUIC、ステーク加重型QoSといったネットワーク最適化技術を通じて性能を向上させています。現在、Alpenglowアップグレードにより、ブロックの確定時間を150ミリ秒に短縮する目標も進行中です。さらに、Firedancerクライアントのテストネットでは、1秒あたり100万トランザクション(TPS)を達成し、年内にはメインネット対応も予定されています。
ちなみに、Visaの平均は1,700TPSなので理論値では約588倍もの速さで処理できることになります。実現できたとしたら凄いんでしょうけど、私たちは実感できるのでしょうか。速すぎてようわからんとかなりそうです。笑
エコシステムの広がりと収益構造
ソラナのエコシステムは、DeFi、NFT、DePIN、モバイルなど多様な分野に広がっています。特に、ミームコインや分散型取引所(DEX)、ウォレット関連のアプリケーションが収益を牽引しており、Pump.fun(2.57億ドル)、Phantom(1.64億ドル)、Photon(1.22億ドル)、BullX(0.87億ドル)、Jupiter(0.80億ドル)などが代表例です。DEXの平均日次取引量は46億ドルに達し、1月には83億ドル、1月18日には360億ドル(Nasdaqの1日取引量の約10%)を記録するなど、取引の規模が拡大しています。
話題となったトランプコイン($TRUMP)はSolana上で発行されたミームコインです。
Solanaは「使われている」ブロックチェーン
Solanaは、ただの技術ではなく「実際に多くの人が使っている」ブロックチェーンです。
たとえば2025年1月には、Solana上の取引所で36億ドルもの売買が1日で行われ、アメリカの株式市場「Nasdaq」の10%に相当する規模になりました。
実際に使われている例としては、以下のような人気アプリがあります。
・Jupiter(ジュピター):Solana最大の取引所。トークンを簡単に交換でき、手数料も安い。
・Pump.fun(パンプドットファン):誰でもミームトークンを作って売買できる遊び場のようなアプリ。
・Phantom(ファントム):Solana専用のウォレットアプリ。操作が簡単で、スマホでもすぐに使えます。
このように、Solanaは「開発されている」だけでなく「使われている」ことで、他のブロックチェーンと大きく差別化されています。
データからみるSOLANAの現状
私は日頃からweb3のイベントに積極的に参加していますが、頻繁にSolana系プロジェクトのイベントがあるような気がします。マーケティングをするだけの財力があるんだなと思ってしまいます。
それだけ人気があり使われているということでしょう。割安なら是非とも保有したいというのが私の考えです。
とはいえ、現状のデータを見ていきましょう!
オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。
/
価格チャート

ATHは2025年1月13日に一時的につけた$294です。2023年10月からぐんぐん上昇していったSOL/USDは$130〜$250を推移しています。
これだけの上昇前に$20ぐらいだったことを考えると高値圏にいるともとれます。一方で$130〜$250の間の価格帯では割安と言えそうです。
個人的には$128付近まで値下がりしたところで買いたいですね。もっと安くなってほしい(願望)
Nakamoto Coefficient:Solanaの分散性
Solanaはすごく活躍しているイケイケなイメージがあります。時価総額ランキング6位ですし、TVLもどんどん上昇しています。

しかし、過去にはネットワーク障害が頻繁に発生していました。
ネットワーク障害の遍歴
Solanaは2021〜2022年を中心に、いくつかの大規模なネットワーク障害を経験しています。
- 2021年9月14日:IDO(Grape Protocol)で一部Botアクセスが集中し、検証ノードがトランザクションを処理できず、約17時間にわたる停止が発生。
- 2022年5月1日:ミント用Bot攻撃で7時間停止 。
- 2022年5月末:ステート処理のバグにより約4.5時間停止 。
- 2022年10月1日:バリデータ間で正しいブロックが分岐してしまうバグにより約6時間停止 。
総じてスケーラビリティ重視でセキュリティに課題という批判もあったように、Cointelegraphでは「スケーラビリティ優先のために安全性が後回し」との見方もあります。一方、2023年11月にはインフラ業者のHetzner停止によって1000以上のノード、20%のステークが一時オフラインになったものの、数日内に回復しネットワークは継続稼働しました。また、2024年2月6日には5時間程度のダウンが報告され、修正版アップデートとバリデータ間の連携により迅速に復旧されたことが報告されています。
ネットワーク停止への対応力と復旧スピードは改善されてきている一方で、重大な障害は短・中期的に発生していることがわかります。
中央集権的なのでは?
私のSolanaのイメージはよく止まる。なのですが、5月下旬に参加したとあるイベントでこんな話を聞きました。
ネットワーク障害が発生した時、某有名CEXが運営しているバリデーターに停止命令を出したとかなんとか。
常に疑ってかからなければなりません。記事をあさってみたところ、少々気になる記事が出てきました。
Medium記事でも中央集権的ではないかと言われています。
Solana’s Centralization Paradox and Its Economic Impact.
ソラナの中央集権パラドックスとその経済的影響(要約)
「Solana’s Centralization Paradox and Its Economic Impact」(tobs.x著)は、ソラナ(SOL)の技術的優位性と中央集権性の問題、そしてそれが経済に与える影響を分析しています。以下は主なポイントの要約です:
- ソラナの技術的強み
ソラナはProof-of-History(PoH)やTurbineなどの技術により、高速かつ低コストのトランザクションを実現し、1秒あたり最大65,000トランザクション(理論値)を目指しています。DeFi、NFT、ミームコインなどのエコシステムが急成長し、2024年の総ロック価値(TVL)は50億ドルを超えました。 - 中央集権性の問題
ソラナは高速性を追求する一方、バリデーター(検証者)の数が約1,500と少なく、トップ10バリデーターがネットワークの33%以上のステークを支配しています。この集中度は、イーサリアム(約32,000バリデーター)やビットコイン(約13,000ノード)に比べ中央集権的です。さらに、ソラナのネットワークは高性能サーバーを必要とし、バリデーター運営コストが高いため、参入障壁が問題視されています。過去のネットワーク停止(例:2021年9月、2022年1月)も、中央集権的構造に起因する脆弱性を露呈しました。 - 経済的影響
- ポジティブ面: 高速処理により、ソラナはミームコイン(例:$TRUMP)やDEX(Jupiterなど)のプラットフォームとして人気で、取引手数料収入は2024年第3四半期に2億ドルを超えました。ステーブルコイン市場も125億ドルに成長し、経済活動を牽引しています。
- ネガティブ面: 中央集権性が投資家の信頼を損なうリスクがあり、価格ボラティリティが大きい(2021年11月のATH $260から2022年12月の$8まで下落)。また、バリデーターの集中はガバナンスの透明性や検閲耐性に懸念を生じさせ、機関投資家の参入を抑制する可能性があります。
- 将来の展望
Firedancerクライアントの導入(年内予定)により、TPSが100万に達する可能性がありますが、中央集権性の改善には、バリデーターの分散化や運営コスト低減が不可欠です。ソラナ財団はコミュニティ主導のガバナンス強化を目指していますが、短期的にはトレードオフが続くでしょう。
(出典)https://medium.com/%40tobs.x/solanas-centralization-paradox-and-its-economic-impact-cdd357abd9bc
Mediumの記事を受けて、私もオンチェーンデータに基づく指標はないかと調べていたところ、ナカモト係数に辿り着きました。推移をみてみましょう。

ナカモト係数(Nakamoto Coefficient)とは
あるネットワークの意思決定を停止・制御できる最小のバリデーター数
を表す指標です。つまり、
- 数字が大きいほど分散化されている(=健全)
- 数字が小さいほど少数のバリデーターに依存している(=リスクが高い)
ということになります。
時期 | Nakamoto Coefficient | 解釈 |
---|---|---|
2021年〜2022年半ば | 約20〜25前後 | 比較的分散化されていた |
2022年後半〜2023年8月 | 34 | Solana史上最も分散化されていた |
2023年9月〜2024年初頭 | 急落・不安定 | バリデーターの脱退や集中が起きた可能性あり |
2024年10月 | 19 | 分散性の低下。最小で19のノードを支配すればネットワークを止められる状態 |
SOLANAのこれから
Solana(ソラナ)は2017年にAnatoly Yakovenko氏によって設立され、2020年3月にメインネットをローンチした高性能ブロックチェーンです。当初から「世界中のすべてのアプリケーションをブロックチェーン上で動かす」という大胆なビジョンを掲げ、高速処理・低手数料・スケーラビリティに特化した設計がなされています。
特に、Solanaは従来のブロックチェーンが抱えていたスケーラビリティ問題を解決するため、独自の「Proof of History(PoH)」という時間の概念を組み込んだコンセンサス機構を導入。この技術により、1秒間に数千~数万件のトランザクションを処理することができるとされ、大規模なアプリケーションにも対応可能な次世代ブロックチェーンとして注目されています。
Nakamoto係数はEthereumでは約30、Bitcoinでは約4とされており、Solanaの数値はこれらと比較しても中間的な水準と言えるでしょう。ただし、Validatorの報酬設計やMEV報酬の偏在、100%コミッション設定のバリデーターが多数存在する点など、ネットワークガバナンスの健全性にはさらなる検討が必要です。
Solanaは今後、より実用的なWeb3インフラとして進化する可能性が高いプロジェクトです。特に注目されているのが、Jump Cryptoが開発中のFiredancer。これはネットワーク性能と安定性を飛躍的に高める新しいクライアントで、スケーラビリティ問題を根本から解決する可能性を秘めています。
また、Solana Labsが展開するスマートフォン「Saga」シリーズや、DePIN領域での進展も見逃せません。これらの取り組みは、一般ユーザーがSolana上のアプリに自然に触れるきっかけとなるでしょう。
分散性やバリデーターの健全性には課題が残る一方で、技術革新と採用事例の増加が強力な成長ドライバーとなる可能性があります。将来性に期待して、慎重に運用する価値は十分にあると言えそうです。
最後に、SOLの購入とステーキングができるオススメCEXを紹介します。
SOLの購入&ステーキングができるCEX
オススメCEX | APR |
---|---|
Bybit | 4.00 |
SBI VC トレード | 6.7 |
BITPOINT | 7.92 |
DYOR!!