概要
Polkadotは、異なるブロックチェーン同士をつなぐための次世代ネットワークです。Ethereumのような1本のメインチェーンの上で全てのアプリが動く仕組みとは異なり、Polkadotは複数の独立したブロックチェーン(=パラチェーン)を1つのネットワークでまとめるという独自の構想を持っています。
Polkadotは、異なるブロックチェーン同士をつなぎ、協調して動かすことを目的とした次世代のブロックチェーンネットワークです。開発者はイーサリアム共同創設者の一人であるギャビン・ウッド氏で、2020年にメインネットがローンチされました。
PolkadotのネイティブトークンであるDOT(ドット)は、ネットワークの運営と維持に欠かせない役割を持っています。DOTはステーキングによってネットワークのセキュリティに貢献し、保有者はガバナンスに参加してプロトコルの変更に投票できます。また、DOTはPolkadotの特徴的な仕組みである「パラチェーンスロットオークション」にも利用されます。プロジェクトが自身のブロックチェーン(パラチェーン)をPolkadotに接続するためには、大量のDOTをロックしてスロットを確保する必要があります。これにより、DOTは単なる投資対象ではなく、Polkadotエコシステムに積極的に参加するための手段として機能しています。
唐突ですが、実は私、2024年6月8日、東京大学で開かれたGray Paper学習会に参加した際にギャビン・ウッド氏本人の講義を聞くことができました。終始英語だったのと、論文の内容が難しすぎてちんぷんかんぷんでしたが、本人の熱意というかパワーがすごかったのを覚えています。それで、Polkadotが好きになりましたね。(単純w)
特徴
リレーチェーンとパラチェーンによる分散設計
Polkadotの最大の特徴は、1本の中心的な「リレーチェーン」と、用途ごとに分かれた複数の「パラチェーン」によって構成されるアーキテクチャです。これにより、ブロックチェーンごとに処理を分散させることができ、ネットワーク全体のスケーラビリティ(処理能力)を大幅に高めることができます。また、各パラチェーンは個別のルールや仕様に基づいて動作できるため、ゲーム、DeFi、サプライチェーン管理など多様な用途に特化したブロックチェーンを構築可能です。
✅ 1本のリレーチェーンと用途ごとに分かれたパラチェーンから構成される
✅ ブロックチェーンごとに処理を分散させることが可能となり、高いスケーラビリティを持つ
セキュリティの共有
通常、ブロックチェーンは自前でセキュリティを確保する必要がありますが、Polkadotではパラチェーンがリレーチェーンのセキュリティを共有できる「共有セキュリティ」という仕組みを採用しています。これにより、個別のプロジェクトが独自にセキュリティ対策を講じる必要がなくなり、開発の負担を軽減しつつ安全性を高めることができます。
✅ 参加者が多い主要ネットワークのセキュリティを共有することで、信頼性が担保される。
相互運用性(インターオペラビリティ)
インターオペラビリティ(interoperability)とは、異なるシステムやネットワークが互いに通信し、データを交換し、協力して動作できる能力を指します。例えばBitcoinやEthereumなど、個別に動作するブロックチェーンが互いにデータを共有したり、資産を移動させたりできるようにする仕組みを意味します。これにより、孤立したネットワークが連携し、新しい用途や効率的なサービスが生まれる可能性が広がります。
Polkadotの場合、インターオペラビリティはコアコンセプトの一つです。Polkadotは、Relay Chain(リレーチェーン)と呼ばれる中央ネットワークを通じて、複数のパラチェーン(Parachains)と呼ばれる個別のブロックチェーンを接続します。これにより、各パラチェーンが独自の機能を持ちつつも、Cross-Consensus Messaging(XCM)と呼ばれるプロトコルを通じて互いに通信が可能になります。さらに、ブリッジ技術を使えば、Polkadot外のブロックチェーン(例えばEthereum)とも接続でき、クロスチェーンでのデータや資産のやり取りが実現します。
Polkadotのインターオペラビリティの利点は、スケーラビリティ(並列処理による処理能力の向上)や共有セキュリティ(すべてのチェーンがリレーチェーンのセキュリティを活用)にもつながる点です。一方で、ブリッジのセキュリティや複雑さ、外部チェーンとの統合の難しさなど、課題も指摘されています。
競合として、ソラナ(Solana)がいます。
✅ 異なるブロックチェーンやシステムが互いに通信し、データや資産を交換できる
✅ 孤立したネットワークが連携することで、新たな用途や効率的なサービスが創れる可能性
✅ DeFiやNFTなどの分野で、異なるチェーン間のシームレスな連携が求められる現代のニーズに応える
ガバナンスとアップグレードの自動化
DOTの保有者は、ネットワークのアップグレードやルール変更に投票できる「オンチェーンガバナンス」に参加できます。Polkadotはネットワークの変更をチェーン上で完結できる設計となっており、ハードフォーク(分裂)を必要とせずにプロトコルのアップグレードが可能です。これにより、ネットワークの持続的な進化と安定運営が実現されています。
✅ ブロックチェーン上でステークホルダーが直接投票や意思決定を行い、プロトコルのルールやアップデートを管理する仕組み
✅ スマートコントラクトやトークンベースの投票を活用し、中央管理機関を介さずに運営
Data
Polkadotの特徴は掴めたでしょうか。
ギャビンウッド氏本人の熱い話を聞いた私は応援したい気持ちでいっぱいになりました。ですが、保有するかどうかは慎重に考えなければなりません。DOTのオンチェーンデータを見ていきましょう。
まずは割安かどうか価格の推移からです。
オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。
価格チャート
まずは現在の価格が割安なのか見てみましょう。

2021年5月11日に¥6,130(ATH)をつけてから、下落が進行。2023年初頭には現在の価格水準に到達しています。
2023年11月に回復するも¥1,700で再度下落。1年後の2024年11月急上昇するも去年の高値を越えられませんでした。
これまでの価格に加え、2023年以降の価格水準でも考えると現在の価格は割安と言えそうです。
¥582は割安
DOTのチャートを見ていると、ずっと底を張っているように見えてしまい、あまり注目を浴びていないのではないかと思ってしまった。
過去、初期の期待と比べてParachainの展開が遅れていたり、ノード障害の発生が信頼性の低下を招いてしまっているのかもしれない。
ここで、TVLを確認してみることにしました。
TVL
TVLはユーザーがステーキング、流動性提供、レンディングなどのために預けたトークンの価値がTVLとして計算されます。TVLが高いほど、そのプロトコルが多くの資金を引きつけ、利用されていることを示します。簡単に言うと、TVLはプロジェクトの規模や信頼性を測る指標の一つです。

ひゃー😱
これが本当だったらショックなんですけど。え。
パラチェーンという構造上、TVLを集計するのが難しくて欠損があるとか?
気になって調べたら、Redditというアプリ内でこのようなことが書かれていました。
ParachainオークションでロックされたDOT(例: 最初の2つのオークションで約13.6億ドル相当)やステーキングされた資産がTVLに含まれていないことが指摘されており、DefiLlamaなどの集計ツールが主に流動性のあるDeFi資産に焦点を当てているため、PolkadotのTVLが低く見積もられている可能性があります。
これだけを見てしまうと、保有するのをためらってしまいそうです。
他のプロジェクトならさらにTx数やアクティブアカウント数、ステーキング比率、バリデーターの数を調査するところですがそれよりも、現状把握と今後の展望について調査したいと思います。
Polkadot(ポルカドット)の現状とこれから|2024年Q4のまとめ
ステーキングがより身近に
Polkadotでは、DOTトークンを使ってネットワークの運営に貢献し、報酬を受け取る「ステーキング」が重要な仕組みです。2024年Q4では、そのステーキングに参加する人が大きく増えました。背景には、「ノミネーション・プール(Nomination Pools)」という仕組みの普及があります。
これにより、これまで32DOT以上が必要だったステーキングに、ごく少額からでも参加できるようになりました。これは、一般ユーザーにとってネットワーク参加のハードルを大きく下げた画期的な取り組みです。
ガバナンスが“開かれたもの”に
Polkadotの魅力の一つが、「OpenGov(オープン・ガバナンス)」と呼ばれる、ユーザー主導のネットワーク運営です。プロジェクトの方針や資金の使い方、ルールの変更など、あらゆる決定をユーザー自身が投票で行います。
2024年Q4では、ガバナンス提案の数が過去最多となり、実際に多くのユーザーが提案を出し、投票に参加する姿が見られました。これは、Polkadotが中央集権に頼らず、真の分散型ネットワークを築こうとしている証拠です。
パラチェーンの“質”が問われるフェーズに
Polkadotの最大の特徴である「パラチェーン」(独立したブロックチェーンの接続枠)は、2022~2023年に急増しました。しかし、2024年Q4ではその数がやや減少しています。これは「衰退」ではなく、価値のあるプロジェクトに資源を集中させる“選別の時期”が来ているということです。
単に数を増やすのではなく、実際に使われ、成長可能なチェーンだけを残す方向に動いています。これはネットワークの成熟に必要な自然淘汰とも言えるでしょう。
アクティビティは緩やかに成長中
取引量などのアクティビティ面では、2024年Q4は大きなスパイク(急増)はなかったものの、安定した利用が続いていました。DeFi(分散型金融)やNFTの分野では特定のプロジェクトが着実に成長しており、また、SubsocialのようなソーシャルDApp(SNS型のブロックチェーンアプリ)も登場し、ユースケースの幅が広がっているのが印象的です。
今後の展望:Polkadotはどう進化する?
パラチェーンの“貸し出し”が自由になる
これまで、パラチェーンの接続枠はオークション形式でしか得られず、プロジェクトにとっては一種の“競争”でした。しかし今後は、「コアタイム取引市場」という新しい仕組みが導入され、パラチェーン接続時間を市場で柔軟に売買できるようになる予定です。
これにより、資金力に限りがあるスタートアップや短期イベントに特化したプロジェクトでも、Polkadotに参加しやすくなります。ネットワークとしての“開放性”がさらに広がることが期待されています。
“プロジェクトの数”より“質”を重視
過去のブロックチェーンブームでは、「〇〇チェーン上で100以上のプロジェクトが稼働中!」というような“数の多さ”が話題になっていました。しかし、Polkadotは次のステップに入りつつあります。
今後は、数ではなくどれだけ価値を生み、どれだけ実際に使われているかが重視されていきます。ネットワークとして「本当に必要なアプリ」に絞って投資と支援を行う流れが強まっているのです。
まとめ
2024年のPolkadotは、あまり派手なニュースはなかったかもしれません。しかしその中で見えてきたのは、基盤の強化と未来への準備です。
ユーザーがより簡単に参加できるステーキングの仕組み、分散型で活発なガバナンス、実用性にこだわったパラチェーン運営など、Polkadotはしっかりと「使われるネットワーク」へと進化を続けています。
このように、Polkadotは表面的な話題よりも本質的な成長に重きを置いた動きを見せており、2025年に向けて再び注目を集める可能性があります。
私が東大で受けた講義の熱量がずっと続くといいなと思う次第です。
さて、最後に、DOTをステーキングできるオススメCEXを紹介して終わりにします。
オススメCEX | APR |
---|---|
Bybit | 0.9 |
SBI VC トレード | 7.8 |
BITPOINT | 12.36 |
DYOR!!