概要
TRON(トロン)は、2017年に中国出身の起業家ジャスティン・サン(Justin Sun)氏によって立ち上げられたスマートコントラクト・プラットフォームです。もともとはイーサリアムに対抗する高性能な分散型アプリケーション(DApps)基盤として注目され、その後独自のメインネットに移行し、コンセンサスアルゴリズムにDPoS(Delegated Proof of Stake)を採用することで、圧倒的なスループットと低コストを実現してきました。
TRONは一時期、分散型インターネットの実現を掲げながら、BitTorrentの買収やUSDTの発行ネットワークとしての成長など、技術・事業両面で拡大を続けてきました。現在ではUSDT流通量の大部分を担うチェーンとなっており、DeFiやステーブルコイン流通の中核として機能しています。
しかしその一方で、創設者ジャスティン・サン氏は、アメリカ証券取引委員会(SEC)から証券法違反や詐欺の疑いで提訴されており、信頼性の面では議論を呼んでいます(Cointelegraph Japan, 2023)。一部のコミュニティでは、政治的思惑や陰謀論の可能性も指摘されていますが、真偽は裁判の行方を見守る必要があります。
また、2024年以降、TRONは米国のドナルド・トランプ前大統領との接近でも話題を呼んでいます。トランプ氏のNFTプロジェクトがTRONベースで実装され、関連の政治団体がTRONネットワークを活用しているとの報道もあります(CoinDesk Japan, 2024)。このように、TRONは暗号資産という枠を超え、政治・メディア・グローバル戦略とも密接に結びつきながら進化している点が他のプロジェクトと一線を画す要素でもあります。
特徴
TRONは、ブロックチェーンを用いた分散型インターネットの構築を目指すプロジェクトであり、その技術的基盤とトークノミクスには明確な設計思想が見て取れます。特にネットワーク構造、ガバナンス、手数料体系において、TRONは実用性と拡張性を両立させる工夫を施しています。
高速かつ安価な取引処理
TRONネットワークは、Delegated Proof of Stake(DPoS)と呼ばれる合意アルゴリズムを採用しています。これにより、ネットワークのスループット(TPS)は高く、取引手数料はほぼゼロに抑えられています。日々数百万件に及ぶトランザクションを処理できる性能を有し、USDTなどのステーブルコインの送金における主要な基盤としての地位も確立しつつあります。
スーパーレプレゼンタティブ(SR)制度による民主的運営
TRONでは、ネットワーク運営を担うノード「スーパーレプレゼンタティブ(super representatives)」が、TRX保有者の投票によって選出される仕組みになっています。
候補者として立候補するには9,999 TRXのデポジットが必要で、得票数の多い上位27名がブロック生成を行い、報酬を得ます。28位以下127位までは「SRパートナー」として報酬のみ受け取ることができます。
この構造により、単なるノード運営者ではなく、ガバナンスへの参加者としての経済的インセンティブが機能し、TRX保有者は投票報酬を通じて積極的にネットワーク運営に関与する仕組みが実現されています。
TRX:ネットワークを支える多機能トークン
TRXはTRONネットワークの基軸通貨であり、その用途は多岐にわたります。最大の特徴は、TRXをステーキングすることで得られる「TRON Power(TP)」を使って、スーパーレプレゼンタティブ選出の投票に参加できる点です。
さらに、TRXはネットワーク上でのリソース取得にも使用されます。たとえばスマートコントラクトを実行する際に必要な「エネルギー(Energy)」や、取引送信に必要な「帯域幅(Bandwidth)」の獲得にも用いられ、ユーザーは自身の行動に応じた最適なリソース配分を実現できます。
このようにTRXは、ステーキング・投票・手数料軽減・ネットワークアクセスなど、ネットワークのあらゆる場面で機能する実用的なトークン設計となっています。
TRONのマルチチェーン展開とRWA志向
最近のTRONは、現実世界資産(RWA)への対応も強化しています。実際に、USDTやUSDCといったステーブルコインのほとんどがTRONチェーン上で流通しており、リアル資産とのブリッジとしての役割を担う存在感が拡大しています。
加えて、TRON DAO Reserveによるトークンの安定供給や、BitTorrent Chain(BTTC)によるクロスチェーン互換性の確保など、単一チェーンにとどまらないマルチチェーン戦略も進められています。
データからみるTRONの現状
グローバルな送金手段として広く利用されるTRONネットワークは、現在どれほどの経済的実需とアクティビティを持っているのでしょうか。TRXの価格推移に加え、TVL(Total Value Locked)、ステーブルコインの流通量、アクティブアカウント数など、主要なオンチェーン指標をもとに、TRONの「実際に使われているブロックチェーン」としての姿を探っていきます。
オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。
価格チャート

2024年後半から2025年半ばにかけて、TRXの価格は安定的な上昇基調を見せています。2024年12月には約0.10ドル前後で推移していたものの、2025年4月には0.20ドルを突破し、7月末時点では0.30〜0.34ドルで推移しています。暗号資産市場全体の「投資家心理」や「価格動向」の影響を受けながらも、TRXは大きく値を崩すことなく、堅調な動きを見せているのが特徴です。
割安で買って長期で保有する戦略から考えると、最近の価格は割高になります。
TVL

2025年第2四半期時点で、TRONのDeFiにおけるTVL(Total Value Locked:預かり資産量)は約46億ドル(4.6B USD)に達しており、前四半期からはわずかに減少(-0.8%)しました。TVLの大半はJustLendやstUSDTなどのステーブルコイン関連プロトコルに集中しており、価格変動リスクを抑えた安定的な運用が特徴です。
他の主要ネットワークと比較しても、TRONは依然としてTVLランキングで第5位を維持しています。上位にはBNB Chain(60億ドル)、Bitcoin(63億ドル)、Solana(86億ドル)、Ethereum(630億ドル)が位置しており、TRONは中堅チェーンの中でも安定した存在感を放っています。
TVLの推移を見る限り、TRONは派手な価格上昇に依存することなく、実需に基づいた資産の預け入れが行われているといえるでしょう。
ステーブルコイン流通量(USDT)

TRONネットワーク上のステーブルコイン市場は、過去1年間で着実に成長を続けており、2025年第2四半期には過去最高を更新しました。
中でもUSDT(Tether)が全体の99.2%を占めており、時価総額は80.3Bドル(+22.2% QoQ)に到達。これは、全USDT供給量の約49.57%がTRON上に存在していることを意味し、Ethereum上のUSDT供給量を大きく上回っています。手数料の安さ・送金スピードの速さが、CEX間の送金や海外送金手段として評価されている要因です。
また、USDT以外でもTRON独自のアルゴリズム型ステーブルコインであるUSDD(USD Decentralized)も存在感を強めています。USDDの時価総額は前四半期比で+71.2%増加し、約432.8Mドルに到達。保有アカウント数も+269,000件増加して約409,000件となり、着実にユーザーベースを拡大しています。
このように、TRONは単なる「USDTチェーン」にとどまらず、ステーブルコイン全体の決済・保管インフラとしての役割を強化していることがデータからも読み取れます。
アクティビティ指標
ネットワークの利用状況を観察するために、トランザクション数とアクティブアカウント数を調査しました。


TRONのネットワークは、日次トランザクション数が常に400万件を超えており、2025年Q2の月間アクティブアカウント数は平均で約190万アカウントに達しました。送金量もUSDTを中心に安定して高水準を保っており、全体として「利用されているチェーン」であることが明確です。なお、USDTの送金が全体トランザクションの多くを占めており、これはTRONが実用性を重視した設計思想を持つことの証でもあります。
TRXを保有・運用する価値は!?
TRX(トロン)は、単なる「古参銘柄」の枠を超えて、実用性に特化したブロックチェーンとして独自のポジションを築いています。最後に、現在TRXを保有・運用する価値をいくつかの観点から整理してみましょう。
1. ステーブルコイン流通の主役としての地位
TRONはUSDTの流通量において圧倒的なシェア(約50%)を誇っており、特にCEX間送金やクロスボーダー決済の送金インフラとしての信頼性を確立しています。これはTRXのネットワーク手数料としての役割を強めており、持続的な需要の裏付けとなっています。
2. 安定したネットワークアクティビティと成長
日次トランザクション数400万超、アクティブアカウント190万と、TRONは実際に使われているチェーンの一つです。特にUSDTやUSDDを中心とした取引がその多くを占めており、日常的な資金移動のハブとして機能している点は他チェーンと一線を画します。
3. DeFi市場の基盤通貨としての役割
TRONのDeFi市場(TVL)は2025年Q2時点で約46億ドルと、全体の成長はやや鈍化しているものの、JustLendやstUSDTなどの実用的な金融アプリが根付いているのは強みです。特にTRXのステーキングによって得られる報酬(例:SR投票報酬)は、他チェーンと比べても比較的高利回り(BITPOINTでは年利4.52%)な傾向にあります。
4. 価格の安定と上昇傾向
2024年末の0.10ドルから2025年夏には0.30ドル超まで上昇しており、TRXは市場全体の動きに合わせて成長を遂げていることが分かります。暴騰暴落の激しいアルトコインに比べて投資リスクを抑えつつ保有できる通貨としての魅力があります。
懸念点とどう向き合うか
TRONにはポジティブな要素だけでなく、留意すべきポイントも存在します。特に創業者ジャスティン・サン氏に対するSECの調査や訴訟、および政治的関係(例:トランプ陣営とのつながり)など、政治・法的リスクが時折報道されています。ただし、こうした外部要因に対する懸念があっても、TRON自体のネットワークの堅牢性や実需ベースの成長は継続している点は重要です。
まとめ:TRXは“使われている”ことに価値がある
TRXの価値は、短期的な価格上昇ではなく、「ブロックチェーンが本当に使われているのか?」という問いに対する確かな答えにあります。ステーブルコイン決済、CEX間の送金、ステーキング、DeFi利用など、日常的な用途の中で機能し続けているTRXは、初心者にも中長期保有の選択肢として検討の余地があるでしょう。
最後に、TRXを購入してステーキングできるオススメCEXを紹介します。
オススメCEX | APR |
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Bybit | 1 |
SBI VC トレード | 2.7 |
BITPOINT | 4.52 |
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