概要
TON(The Open Network)は、Telegramが発端となったレイヤー1ブロックチェーンプロジェクトで、現在は非営利団体「TON Foundation」によって開発が進められています。もともとはTelegram社自身が開発した「Telegram Open Network(TON)」が出発点でしたが、2020年に米SECとの法的トラブルを受けてプロジェクトは一度中断。その後、開発はコミュニティ主導で再始動し、現在のTONはオープンソースの形で進化を続けています。
TONの最大の特徴は、「単なる仮想通貨プラットフォームにとどまらない」ことです。TONは、スケーラブルなマルチチェーン設計を土台に、分散型のストレージ、匿名通信、ブロックチェーンドメイン(TON DNS)、Webホスティング(TON Sites)など、まるでインターネット全体を置き換えるような多機能インフラを構築しています。このような構成から、TONはしばしば「分散型スーパーネットワーク」とも呼ばれています。
TONが注目を集めているもう一つの理由は、Telegramとの関係です。現在もTelegramアプリ上でToncoin(TONのネイティブトークン)を簡単に送受信・保管できる仕組みが提供されており、Telegramが持つ全世界7億人超のユーザー基盤を活かした実利用が進んでいます。単なるWeb3の実験場ではなく、「日常生活で使われるブロックチェーン」としての第一歩を踏み出しているのです。
TONのネイティブトークンであるToncoinは、ネットワークの取引手数料の支払いや、バリデーターへのステーキング、ガバナンス投票、分散型アプリケーション(dApps)上の支払い手段として機能しています。また、ToncoinはTelegram内のウォレット機能を通じて、仮想通貨に不慣れなユーザーにも簡単に利用できるよう工夫されています。
このようにTONは、技術力・実用性・ユーザーリーチという3つの要素を兼ね備えた、極めてユニークなL1ブロックチェーンです。今後、Web3が一般ユーザーへと拡大していくうえで、TONはその入り口となる可能性を秘めた注目のプロジェクトといえるでしょう。
Telegramといえばweb3!私もコミュニケーションツールとして利用しています。
初期設定を気をつけないと個人情報が漏れるので注意が必要ですが、手軽さが好きです。
特徴
TON(The Open Network)と特徴はシャーディングによる高スケーラビリティや、分散型サービス群(TON Services)、Telegramとの深い統合になります。さらに最近では、マスアダプションを狙った仕掛けとして、スマホ向けミニゲーム「Hamster Kombat」が注目を集めました。私は天邪鬼なので、別のT2E telegramゲームをやっていましたが必死で画面をタップしている知人を冷めた目で見てました
シャーディング構造による超スケーラビリティ
TONは「ワークチェーン」+「シャードチェーン」の二層構造を採用することで、理論上数百万件/秒のトランザクション処理能力を実現可能にしています。トランザクションを自動的に分散させる動的シャーディング技術は、TONの最大の強みのひとつです。
このスケーラビリティの高さは、後述の「Hamster Kombat」のような突発的なアプリ利用の爆発にも十分耐えうる設計と言えるでしょう。
分散型インターネット構想:TON Services
TONは、L1ブロックチェーンでありながら、インターネットの構成要素をブロックチェーン上に実装しようとする「Web3インフラプロジェクト」としての側面も持ちます。代表的な機能は以下の通りです:
- TON Storage:ファイルの分散保存
- TON DNS:アドレスに名前を付与
- TON Sites:Webサイトの検閲耐性ホスティング
- TON Proxy:分散VPNのような匿名接続ツール
これらのサービスは、ユーザー主権のインターネットを目指す上で重要なレイヤーを構成しています。
Telegramとの融合による圧倒的UX
TONはTelegramに直接統合されており、ToncoinはTelegramアプリ内のウォレットから即時に送金・受取が可能です。ブロックチェーン初心者にとって大きな障壁である「ウォレットの導入」や「アドレスの管理」をTelegramという既存のUXに組み込むことで解消しています。
今後もTelegram上で動作する「ミニアプリ」がTON上に構築されることで、ユーザーはアプリ間を意識せずにWeb3サービスにアクセスできるようになります。
【事例】Hamster Kombatとマスアダプション戦略
2024年、TON上で稼働したTelegramミニアプリ「Hamster Kombat」は、日々数億回のタップを生むバイラルゲームとして爆発的に拡散しました。
仕組み自体は非常に単純で、スマホ画面をタップして仮想通貨的なポイントを稼ぐ「Tap-to-Earn」モデルですが、Telegram上で完結する体験設計により、多くの非暗号ユーザーが初めてTONエコシステムに接触するきっかけとなりました。
このゲームは、一見すると単純で投機的に見えるかもしれませんが、実際にはTONが誇るスケーラビリティやTelegramとの統合性を大規模に実証した事例でもあります。特に以下のような観点で評価されています。
私自身はこの種の単調なゲームに魅力を感じませんが、Web3の普及という観点では、使わせて慣れさせるという重要な役割を果たしたと言えるでしょう。
データからみるTONの現状
Web3プロジェクトを評価する上で、価格だけでなく実際の利用状況を分析することが不可欠です。ここではTONブロックチェーン上での最新のオンチェーンデータをもとに、その健全性や成長性を確認していきます。
オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。
価格チャート

初期から長い間は価格が低迷していました。2024年、Telegramのユーザー基盤(約9億人)との統合やWeb3エコシステムの拡大により、価格は最高値の8.28 USDに到達。しかし、TelegramのCEOパベル・デュロフの逮捕(2024年10月)により一時的に下落。2025年は年初から価格は3.2USD前後で推移し、過去最高値から約60%下落しています。
ATHから大幅に下落しており、TONの技術的強み、Telegramとの統合、市場でのポジションを考慮すると割安なのではないでしょうか。
TVL(Total Value Locked)

2024年7月にATHを記録しました。Telegramアプリとのシナジーだと推測しています。ハムスターコンバットをみんなやっていたのもこれぐらいの時です。Telegramのユーザーは9億人とも言われており、TVL急増の原因だと思われます。
しかし、その後は減少に転じてしましいました。2024年8月のTelegram創設者パベル・デュロフの逮捕は、TONの信頼性に一時的な打撃を与え、TVLの流出を加速させた可能性があります。
現在は下落は止まっている。おそらく、2025年2月時点でTONのTVLに占めるステーキングの割合が60~70%に達しており、すぺーすによる安定した収益を求めるユーザーの参加がTVLを支えている可能性が高いです。
トランザクションのインパクト

2024年に話題を呼んだTelegramベースのTap-to-Earnゲーム「Hamster Kombat」は、TONのトランザクション数を一時的に爆発的に引き上げました。
このゲームでは、Telegramボットを通じてプレイヤーが手軽にゲーム内トークンを獲得でき、TONブロックチェーン上での処理が行われました。その結果、1日あたりのトランザクション数が他チェーンを上回る日も出現。
たしかに、スマホを連打するようなゲーム性は一過性にも見えます。しかし、ブロックチェーンに馴染みのない一般層がTONに触れる入り口として機能したのは間違いなく、マスアダプションの観点では無視できない成果です。
現在は落ち着いていますが、2023年11月以前のTx数に比べると、安定しているように見えます。
スマートコントラクトのデプロイ数で見る開発状況

TONは開発者向けの環境も充実しており、現在はEVMとは異なる独自VM(TVM)上でスマートコントラクトが稼働しています。TVMは比較的新しい設計ながら、高効率かつ軽量な設計が評価されています。
2024年時点で、TON上にデプロイされたスマートコントラクトの数は右肩上がりで増加しており、特にDeFi、ゲーム、RWA(実物資産トークン化)領域での開発が進んでいます。
また、2024年にはTONがTON Spaceというノーコード開発支援のプラットフォームを立ち上げ、Telegram Bot経由でWeb3アプリを誰でも作れる仕組みを発表。これにより、開発ハードルの低下がさらなるオンチェーン活性を呼び込んでいます。
TONを購入して運用する価値はあるのか
TONは、Telegramという20億人規模のユーザーベースを背景に、近年その存在感を急速に高めています。ブロックチェーンとしてのトランザクション処理能力や、開発者・ユーザー双方に優しい設計思想を持ちながらも、今まさに「金融インフラ」としての成熟フェーズに入りつつあると言えるでしょう。
特に、以下のポイントは、TONが長期的に価値を持ちうることを示唆しています。
Telegram統合という唯一無二の優位性
Telegramは2024年から、TONベースのウォレットやミニアプリを公式にサポートし始めました。これにより、従来のブロックチェーンが直面してきた「UI/UXの壁」や「ウォレット普及率の低さ」といった障害を、TONはTelegramの体験の延長線上で自然に乗り越えることに成功しつつあります。
つまり、Web3がWeb2ユーザーに自然に届く道筋が、TONには初めから組み込まれているのです。
ミドルリスク・ハイポテンシャル
TONはまだ発展途上であり、DeFiやRWAなどの実需がEthereumのように定着しているわけではありません。その意味で、投資としてのリスクはゼロではありません。しかし、Telegram統合という強烈なアドバンテージと、着実に伸びる開発・利用基盤を考慮すれば、将来的にWeb3インフラの中核となる可能性があると評価できます。
今後の展開として注目すべきは
- TONエコシステムへの新規資金流入(TVLの成長)
- Telegramによる追加機能(広告連動、決済機能など)のローンチ
- DePIN(分散型物理インフラ)やRWA系ユースケースの増加
これらが揃ったとき、TONは単なる「Telegramのブロックチェーン」から、「Web3時代の新しい入口」へと進化するかもしれません。
画面タップはやりませんが、面白い機能をたくさんリリースしてくれることを願っています!
最後に、TONを購入してステーキングできるオススメCEXを紹介します。
オススメCEX | APR |
---|---|
Bybit | 4.22 |
DYOR!!