トランザクションボリュームとカウントとは?仮想通貨の“規模と頻度”を読み解く基本指標

目次

1. トランザクションボリュームとは?

仮想通貨におけるトランザクションボリューム(Transaction Volume)とは、ある一定期間内にブロックチェーン上で送受信された仮想通貨の総額を表す指標です。

たとえば、1日に10件の送金があり、それぞれ1 ETHずつ移動していれば、
その日のトランザクションボリュームは「10 ETH」になります。

この指標は、ブロックチェーンがどれだけ活発に使われているかを測るための代表的なものの1つで、「ネットワーク上でどれだけの価値が移動しているか」を定量的に把握することができます。

なぜトランザクションボリュームを見るのか?

  • ネットワーク上の価値移動が活発であれば、それだけ信頼されて使われている証拠になります。
  • 特に決済や送金、スマートコントラクトを使ったDeFiなどのユースケースでは、ボリュームが増える傾向にあります。
  • また、過去との比較や他チェーンとの比較を行うことで、成長性や需要の変化も読み取れます。

たとえば、SolanaやEthereumのようにDAppが多く展開されているチェーンでは、一日あたり数億〜数十億円規模のトランザクションボリュームが記録されることもあります。

2. トランザクションカウントとは?

仮想通貨におけるトランザクションカウント(Transaction Count)とは、一定期間内にブロックチェーン上で発生した取引の件数を表す指標です。
トランザクションボリュームが「どれだけのお金が動いたか」を示すのに対して、トランザクションカウントは「どれだけ多くのやり取りが行われたか」を定量的に示します。つまり、ユーザーが日常的にブロックチェーンを使っているか、どれほどの頻度でネットワークが利用されているかを測れます。

たとえば、ある1日に以下のような送金があったとしましょう。

  • Aさん → Bさんに1 ETH送金
  • Aさん → Cさんに0.5 ETH送金
  • Dさん → Eさんに2 ETH送金

この場合、トランザクションカウントは3件となります。Aさんが2回トランザクションを発生させていますが、送信元や送信金額にかかわらず、「1回の送金=1件のトランザクション」としてカウントされるのが原則です。

なぜトランザクションカウントを見るのか?

トランザクションカウントは、ブロックチェーンがどれだけ日常的に使われているかを把握するための、非常に実用的な指標です。

仮に1日に100万ドル分の仮想通貨が動いていた(Tx Volumeから)としても、それがわずか数件の大口取引によるものであれば、実際には一般ユーザーがほとんど使っていない可能性があります。

一方で、1件あたりの金額が小さくても、日々何千件、何万件と取引が行われていれば、使われているチェーンということになります。
このように、トランザクションカウントには次のような特徴があります。

  • 取引頻度を把握できる:金額に関係なく「何回使われたか」がわかる
  • 日常的な利用度を測れる:実際のユーザーアクティビティの多さを反映
  • 実需のヒントになる:頻繁に使われている=価値を感じているユーザーが多い

金額ベースの指標では見えてこない利用実態を捉えるのに最適なデータなのです。

3. トランザクションボリュームとカウントの違い・使い分け

トランザクションボリュームとトランザクションカウントは、どちらもブロックチェーンの活動状況を把握するための重要な指標ですが、それぞれの性質は大きく異なります。
2つの指標の違いや使い分けのポイントについて、これまでのことをまとめ、表とともに詳しく見ていきましょう。

指標名意味単位向いている分析
トランザクションボリューム取引された通貨の合計金額USDやETHなど資金流入の大きさ、経済規模の分析
トランザクションカウント取引の件数件数(回数)利用頻度や日常的なアクティビティの分析

実際に、ビットコインのオンチェーンデータを見てみましょう。
BTCの価格推移とトランザクションボリュームとカウントになります。トランザクションボリュームはUSD価格ではなく、BTCの枚数となっている点に注意してください。(Transferred)

初期の頃を比較すると、取引量は多いですが件数は少ないです。その後、取引額はずっと安定していますが、件数は一気に跳ね上がり、多い時には90万件のトランザクションが処理されていることがわかります。
このような特徴から次のような見方ができます。

  • ボリュームが高く、カウントが少ない → 少数の大口取引が多い
  • カウントが多く、ボリュームが少ない → 少額でも広く使われている

これらの指標を単独で用いるよりも、他の指標と合わせて分析することが多いです。

4. Crypto Stake Naviの視点:「カウント」を重視する理由

Crypto Stake Naviで紹介しているプロジェクトの多くは、長期的に継続している健全なプロジェクトです。こうしたプロジェクトでは、初期の頃と比べて次のような傾向が見られます。

  • 大口投資家による高額取引が相対的に減少
  • 一般ユーザーによる少額・日常的な取引が増加
  • 大きな金額が動いたとしても、1件では“利用されている”とは言い切れない
  • 一方で、たとえ少額でも多くの人が日常的に使っているプロジェクトは、実需がある証拠
  • 特にエンタープライズ用途ではなく、個人ユーザー向けのアプリが中心のチェーンではカウントの方が信頼できる

そのため、私たちは「トランザクションボリューム」よりも「トランザクションカウント」に注目することが多くなっています。

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