1. ステーキング比率とは?
まず前提として、「ステーキング(Staking)」とは何かを簡単に押さえておきましょう。
ステーキングとは、保有している仮想通貨をネットワークに預けることで、そのネットワークの運営(主に取引の検証やブロック生成)に参加し、見返りとして報酬を得る仕組みです。これは主にProof of Stake(PoS)というコンセンサスメカニズムを採用しているブロックチェーンで導入されています。
簡単にいえば、仮想通貨を「預けて応援する」ことで、ネットワークを支える仲間になり、その貢献度に応じて報酬(利息のようなもの)をもらうイメージです。
代表的なPoS採用のブロックチェーンには次のようなものがあります。
- Ethereum
- Cardano
- Polkadot
- Cosmos
当サイトでも紹介しているものばかりですね!
このような仕組みの中で、ステーキング比率(Staking Ratio)は、仮想通貨の総供給量のうち、ステーキングされている割合を示す指標です。
Proof of Stake(PoS)型のネットワークでは、トークンを保有してステーキングすることでバリデーター(取引の検証者)としてネットワーク維持に参加できます。そのため、ステーキング比率は「どれだけの資産がネットワークの安全性・信頼性のために使われているか」を測る手がかりになります。
2. なぜ重要なのか?
ステーキング比率は、ブロックチェーンネットワークの健全性・信頼性・安定性を測るうえで非常に重要な指標です。
そもそもステーキングは、ネットワークの安全を保つためにユーザーが資産をロックし、バリデーターとして取引の検証に貢献する仕組みです。そのため、ステーキングにどれだけの資産が集まっているかは、ネットワークに対する参加意欲や信頼のバロメーターといえます。
- 高いステーキング比率は、ネットワークへの信頼度が高く、多くのユーザーがインセンティブを感じて資産を預けていることを示します。これによりネットワークの安定性が増加。
- 低いステーキング比率は、報酬が見合っていない、仕組みが複雑、もしくはネットワークの将来性に不安があるといった理由で参加が敬遠されている可能性。
しかし、懸念があります。それは、ステーキング比率が高すぎると、流通市場に出回るトークンが減少し、取引量が低下する可能性があるからです。逆に、比率が極端に低すぎる場合、ネットワークのセキュリティが十分に担保されていない可能性があります。
つまり、ステーキング比率は単なる数値ではなく、ネットワークの成長性とリスクの両方を示す重要なバランス指標なのです。
3. チェーンごとの傾向と比較時の注意点
ステーキング比率はチェーンごとに大きく異なり、その設計思想やエコシステムの性質を反映しています。
たとえば、Staking Rewardsの2025年6月時点のデータによると、イーサリアムとソラナのステーキング比率は次の表のようになっています。
Ethereum(ETH) | Solana(SOL) |
---|---|
29.01% | 65.93% |
実に、約37%もの差です。この差には、チェーンごとのステーキング設計や用途の違い、さらにはバリデーターの数や分散性の設計も影響しています。
Solanaは高速かつ低コストのトランザクション処理が特徴で、ステーキング参加も容易なことから、多くのユーザーが積極的に参加しやすい環境です。一方、EthereumはDeFiやNFTなど幅広い用途に使われており、自己保管や他の運用手段を選ぶユーザーも多いため、ステーキング比率は相対的に低めになります。また、Ethereumは数十万人規模のバリデーターが存在するのに対し、Solanaでは少数の高性能ノードに集中している設計となっており、このようなインフラの違いもユーザーの参加傾向に影響している可能性があるでしょう。
このように、ステーキング比率を比較する際には以下の点に注意が必要です。また、ステーキング比率が70%を超えるようなケースでは慎重な見方が求められます。
- トークンの多くがステーキングにロックされることで、市場に出回る流通量が極端に減少し、流動性が低下する恐れ。
- ステーキングからの一斉解除(アンステーキング)が起きた場合、市場に大量のトークンが戻り価格が急落するリスク。
- ユーザーが自己保管やDeFiなど他の運用方法を選ばず、ステーキングに過度に依存している状況だと、エコシステムの多様性が乏しいという見方も。
このため、ステーキング比率は「高ければ良い」というものではなく、信頼性と流動性、分散性のバランスが取れているかを見極めることが重要です。
比率だけを見て「高い/低い」と評価するのではなく、その背景や文脈を読み解くことが大切です。
4. Crypto Stake Naviの視点
私たちは、単純なステーキング比率の数値だけでなく、それがどのように構成され、持続可能かどうかを重視しています。
- 高すぎる比率 → トークン流動性の低下や過集中の懸念
- 低すぎる比率 → 信頼や報酬の魅力が不足している可能性
最終的には、適度な比率と分散性のある参加者層が、健全で息の長いネットワーク運営につながると考えています。