「アクティブアドレス」と「ユニークアドレス」の違いとは?仮想通貨の利用状況を測る基本指標をわかりやすく解説!

仮想通貨プロジェクトの健全性を判断する際、「アクティブアドレス数(Active Addresses)」と「ユニークアドレス数(Unique Addresses)」は非常に重要なオンチェーン指標です。

この2つはどちらも「どれくらい使われているか」「どのくらい広がっているか」を測るデータですが、意味も使い方も大きく異なります。

この記事では、それぞれの定義・意義・注意点・違いなどを初心者にも分かりやすく解説します。

目次

1. アクティブアドレスとは?

アクティブアドレスとは、一定期間内に1回以上取引(送金・受信)を行ったウォレットアドレスの数を指します。期間は日・週・月単位で集計されることが多く、「どれだけのユーザーが実際にネットワークを使っているか」を把握できます。

例えば、Ethereumのアクティブアドレス数が1日で50万あれば、少なくとも50万のアドレスがその日にEthereum上で何らかのトランザクションを発生させたことを意味します。

・数が多い:利用が活発。需要がある。ネットワークが健全に動いている。
・数が少ない:ユーザー離れ、利用の停滞などの懸念材料に。

一方、集計方法には注意が必要です。
トランザクションは送信者と受信者がおり、送信者のみを集計する場合と両方を対象として集計する場合があります。

集計方法による違いに注意
 1. 送信アドレスのみ(from)をカウントする方法
 2. 送信・受信の両方のアドレス(from/to)をカウントする方法
例えば、
たとえば、ある日、1人がA→Bに送金した場合:
方法②ではAとBの両方をカウント → アクティブアドレス数:2
方法①ではA(送信者)のみカウント → アクティブアドレス数:1

どちらもアクティブアドレス数という言葉で書かれていることがほとんどで注釈を見ないとわかりません。分析ツールや提供元によって数字が異なることがあるため、集計方法を確認するようにしましょう。

2. アクティブアドレス数の見方・使い方

2.1 短期的な変化に注目

アクティブアドレスは「今どれだけ使われているか」を示すため、トレンドの変化を敏感に捉えられます。価格と同様、日単位・週単位での上下に注目するのがポイントです。

  • 突然増加 → 新しいアプリ・ゲームなどで注目度アップ?
  • 継続的な減少 → 利用者離れの兆候?

2.2 チェーン比較にも有効(ただし注意点あり)

同じ時期の様々なブロックチェーンのアクティブアドレス数を比較することで、実際にどのチェーンが「使われているのか」を判断できます。ただし、単純比較には注意が必要です。チェーンの用途や目的によってアクティブアドレス数の意味合いが異なるからです。

たとえば:

  • EthereumやSolanaは、一般ユーザー向けのDeFi・NFTなど多目的アプリを扱う「パブリックなインフラ型チェーン」。多くの人が頻繁に使うことが前提です。
  • 一方で、XDC NetworkやHyperledger系のチェーンは、企業や政府向けに取引の透明性・正確性を提供するB2B用途が中心。アクティブアドレス数は少なくても、価値のある実用的な取引が行われています。

このように、目的(何のためのチェーンか)や仕組み(どんな設計思想か)によって、単純な数字の比較は適切でないことがあります

3. アクティブアドレス数の注意点・限界

3.1 「人間の数」とは限らない

ウォレットアドレスは無料で無限に作成可能です。よって、1人のユーザーが複数のアドレスを使っていても、それぞれが別カウントになります。
また、エアドロップを狙ったスパムアドレス、ボットによる自動取引なども含まれる可能性があります。

3.2 「実需」かどうかの見極めが重要

アクティブアドレス数が多くても、それが「実際の経済活動」ではない場合もあります。たとえば、ステーキングのための出入り、エアドロップ狙いの自動トランザクションなどです。

  • 実需がともなう=DEX取引、NFT購入、ゲームプレイなど
  • 実需がない=自己送金、botアクティビティなど

なので、他の指標(トランザクションボリュームやTVL)と組み合わせて分析するようにしましょう。

4. アクティブアドレスとユニークアドレスの違い【混同注意!】

アクティブアドレスとよく似た指標に「ユニークアドレス(unique addresses)」というものがあります。両者の違いは次の通りです。

指標名定義主な目的増減の傾向
アクティブアドレス数一定期間に実際に取引を行ったアドレス数ネットワークの使用状況・活発さを測る日々上下する(短期の変動に敏感)
ユニークアドレス数ブロックチェーン上でこれまでに作成されたアドレスの累計数(重複なし)利用者ベースのポテンシャルの広がりを示す基本的に右肩上がり(累積値)

例で比較すると…

世界第3位の取引所Coinbaseが独自に開発したイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンBaseで比較してみましょう。
ちなみに、Baseには独自トークンは存在しません。代わりに、ガス代の支払いにはETHを、ガバナンスにはOPを使用しています。
下図はBaseチェーンにおけるアクティブアドレス数とユニークアドレス数です。

Base AA vs UA
https://routescan.io/chart?id=addresses&metrics=chain%3A8453%3AUnique+Addresses%3A%2327aeef%3Aday%3Alinear%3Aline%3Avisible%3Ay1%3Anone%3A%2Cchain%3A8453%3AActive+Addresses%3A%23ef9b20%3Aday%3Alinear%3Aline%3Avisible%3Ay2%3Anone%3A
  • Baseのユニークアドレス数が5億あっても、アクティブアドレスは250万/日程度です。っていうか5億ってすごいですね。
  • つまり、「登録者は多いが、今使っている人は一部だけ」という状態も多いのです。

どちらを見ればいい?

状況注目すべき指標理由
ネットワークがどれだけ使われているか知りたいアクティブアドレス数実際に動いているアドレスが対象だから
プロジェクトのユーザー拡大ペースを知りたいユニークアドレス数長期的な普及度の参考になる

AAとUAの限界と補完指標

アクティブアドレスやユニークアドレスはどちらも重要な指標ですが、それぞれに限界があります。

  • アクティブアドレスは短期的な動きに敏感だが、人間の実数を表しているわけではない。
  • ユニークアドレスは蓄積的に増え続けるが、放置アカウントやbotも含まれる。

そのため、以下のような指標も活用しましょう。

  • トランザクションボリューム:実際にどれだけ資産が動いているかを示す。
  • TVL(Total Value Locked):資産がどれだけそのネットワークに預けられているか。
  • 手数料収入:ネットワークがどれほどの経済的価値を生み出しているか。

複数の指標を組み合わせて使うことで、仮想通貨プロジェクトの健全性や将来性をより立体的に評価できるようになります。

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