ステーキングを始めるなら簡単に行えたほうがいいですよね。仮想通貨の世界の中では全部自分で管理する方法があります。そのほうがCEX(中央集権型取引所)に取られる手数料がない分、利回りが高くなります。しかし、管理コストが高くなってしまうというデメリットがあるため、私は慣れるまでCEXを利用するのをお勧めしています。当然、手数料は安いところで。
「簡単にできる」といった理由でCEXを勧めていますが、その裏側で実際にあなたの暗号資産を動かしているのは、そのCEXではないかもしれません。
本記事では、ステーキングの“裏方”として活躍する企業の一つ「Kiln(キルン)」について紹介していきます。
Kilnとは?
Kilnは、仮想通貨のステーキングに特化したフランス発の企業です。国内ではまだ知名度が低いものの、海外では多くの仮想通貨ウォレットやカストディ企業、大手取引所などから信頼を集めている、いわば“縁の下の力持ち”のような存在です。
ステーキングに必要なノード(サーバー)を24時間365日稼働させ、ネットワークの検証作業を代行し、報酬を生み出す。そんな重要な仕事を、私たちユーザーに代わって担ってくれているのが、Kilnのような「バリデーター企業」です。
Kilnの基本情報
Kilnはフランス・パリに本拠を置く、ステーキングインフラに特化した企業です。2018年に創業され、EthereumやSolana、Polkadotなど主要なPoSチェーンのバリデーターとして高い実績を持っています。特に欧州圏ではステーキングの信頼性と安全性を語るうえで欠かせない存在とされており、企業・機関投資家向けに多様なステーキングソリューションを提供しています。
- 本社所在地:フランス・パリ
- 創業年:2018年
- 主な対応チェーン:Ethereum, Solana, Cosmos, Polkadot, Tezos ほか56ものプロトコル
提携企業(一部)
Kilnは以下のような著名企業と提携・協業しています。
- Ledger(ハードウェアウォレット最大手)
- Anchorage Digital(米国の機関投資家向けカストディサービス)
- Coinbase Cloud
- Fireblocks
- Sygnum Bank(スイスの暗号資産銀行)
- Lido(リキッドステーキングプロトコル)
これらの企業はKilnのノード運用やAPIインフラを活用し、自社サービスとしてステーキングを提供しています。
Kilnが支持される理由
✅ 信頼性の高いインフラ運用
Kilnは、稼働率99.95%以上を誇る高可用性のインフラ環境を整備しています。ノードの分散配置、冗長性の確保、リアルタイム監視体制など、金融機関レベルのセキュリティと信頼性を実現しています。
また、フェイルオーバー体制も整備されています。これは、ノードやサーバーに障害が発生した際に、即座に待機中のバックアップノードへ切り替える仕組みです。これによりステーキングが中断されるリスクや、後述するスラッシングの発生を未然に防ぐ役割を果たします。
✅ 柔軟なAPIと自動化ツール
企業顧客に向けては、ステーキング業務を自動化・効率化するAPIやダッシュボードを提供しており、大規模な暗号資産運用を可能にします。これにより、CEXは最小限のリソースで高品質なステーキングサービスをユーザーに届けられます。
✅ スラッシング対策
万が一のノード停止や不正行為によって発生するペナルティ、それがスラッシング(slashing)です。これは、ブロックチェーンネットワークの健全性を保つために設けられた仕組みで、バリデーターの不正や長時間の停止があった場合に、そのステーク(預けられた資産)の一部が没収されることを意味します。
Kilnではこのスラッシングを防ぐために、フェイルオーバー体制や高度な監視システムを整えており、ユーザー資産の安全性を守る体制を構築しています。
Kilnを通じて考える「ステーキングの裏側」
Kilnは日本ではあまり知られていない存在かもしれませんが、世界のCEXやカストディ企業が高く評価するインフラ企業です。だからこそ、私たちが安心してCEXでステーキングできるとも言えるでしょう。
ですが、どこに委託されているかが非公開の場合も多く、ユーザー自身が調べなければわからないことも多いです。今後の資産運用を考えるなら、「どの企業に運用を任せているか?」という視点をぜひ持ってください。といっても、全然出てこないのですが。DYORの精神を忘れずに!ということです。
次回予告:Blockdaemonの全貌
次回は、アメリカ発の巨大ステーキング企業「Blockdaemon」について掘り下げていきます。インフラ規模、サポート範囲、企業戦略などを分析し、Kilnとの比較にもつなげていきます。