Stellar(XLM)

目次

概要

Stellar(ステラ)は、国際送金の課題を解決し、より包括的な金融システムを構築するために2014年に誕生したブロックチェーンプラットフォームです。

元リップル共同創設者のジェド・マケーレブによって設立されたStellarは、「金融アクセスの民主化」を掲げ、誰もが低コストかつ迅速に国境を越えた取引を行える世界を目指しています。このビジョンは、従来の金融システムが抱える高額な手数料や遅延の問題、特に発展途上国での送金コストの高さに挑戦するものです。例えば、アフリカやアジアの多くの地域では、海外からの送金で10%以上の手数料が差し引られるケースも珍しくありません。

Stellarの特徴を理解する上で、リップル(XRP)との比較が参考になります。リップルが主に金融機関向けのエンタープライズソリューションに焦点を当てているのに対し、Stellarは個人や中小企業、さらには金融インフラが整っていない地域の金融包摂を重視しています。この理念は、技術設計や運営方針にも反映されており、Stellarは誰でも利用しやすいプラットフォームを提供します。スマートフォンさえあれば、銀行口座を持たない人々でも世界中との送金や決済が可能です。

最近の動向では、Stellarのエコシステムがさらに拡大しています。2025年4月、Stellar開発財団は2025年末までに約30億ドル(約4260億円)の現実資産(RWA)をStellarネットワーク上にオンチェーン化し、1100億ドルの取引高を支える目標を発表しました。この取り組みは、フランクリン・テンプルトンやウィズダム・ツリーといった大手とのパートナーシップを基盤としており、Stellarの超高速・低手数料のブロックチェーンが現実資産のトークン化に適していることを示しています。

また、2025年6月には、ペイパルが自社のステーブルコインPYUSDをStellarブロックチェーンに導入することを発表しました。これにより、中小企業はリアルタイムで運転資金にアクセスでき、売掛金の遅延や資金繰りの課題を解決する新たな選択肢が生まれています。こうした最新の事例からも、Stellarが金融の民主化だけでなく、ビジネスの効率化や新たな経済機会の創出にも貢献していることがわかります。

Stellarの最大の強みは、シンプルかつ包括的なプラットフォームを通じて、個人から企業まで幅広いユーザーに金融の自由を提供することです。これこそが、Stellarが目指す「誰もが参加できる金融の未来」の核心であり、そのビジョンは日々現実のものとなりつつあります。

特徴

コンセンサスメカニズム:Stellar Consensus Protocol(SCP)

Stellarの技術的基盤となるのは、独自開発のStellar Consensus Protocol(SCP)です。これは従来のProof of WorkやProof of Stakeとは根本的に異なる革新的な仕組みです。SCPでは、ネットワーク参加者が信頼するノードを選択し、その選択に基づいて合意形成を行います。

この仕組みの優れた点は、エネルギー効率と処理速度の両立です。ビットコインのマイニングのような膨大な電力消費は不要で、かつ3〜5秒という高速な取引承認を実現します。また、分散性を保ちながらも、信頼できるノードによる効率的な運営が可能になっています。

ネットワーク参加者が信頼するノードを選択するという点で、リップルのコンセンサスメカニズムと似ている気がします。

圧倒的な処理速度とスケーラビリティ

Stellarネットワークは、毎秒数千件のトランザクションを処理できる能力を持ちます。これは、現在のVISAやMasterCardなどの決済システムと比較しても遜色ない性能です。さらに重要なのは、この処理速度が維持されながら、取引手数料が極めて低く抑えられていることです。

国際送金において、この処理速度は決定的な優位性をもたらします。従来の銀行間送金では2〜5営業日かかっていた処理が、Stellarを使えば数秒で完了します。これにより、緊急時の送金や、為替変動リスクを最小限に抑えた取引が可能になります。

XLMトークンの経済設計

Stellarの基軸通貨であるXLM(Stellar Lumens)は、単なる投機対象ではなく、ネットワーク運営の重要な要素として設計されています。XLMの総供給量は500億枚で、年間1%のインフレ率が設定されています。

XLMの主な役割は、取引手数料の支払いとスパム防止です。一回の取引につき0.00001XLM(約0.001円)という極めて低い手数料で、悪意のある大量取引を防ぎつつ、通常の利用者には負担とならない設計になっています。

また、XLMは異なる通貨間の橋渡し役として機能します。例えば、日本円からナイジェリアナイラへの送金では、円→XLM→ナイラという経路で自動的に変換され、最適な為替レートでの送金が実現されます。

アンカーシステムによる法定通貨連携

Stellarの革新的な特徴の一つが、「アンカー」と呼ばれる仕組みです。アンカーは、法定通貨や他の資産をStellarネットワーク上で表現するための橋渡し役を担います。認証を受けたアンカーは、例えば米ドルに裏付けられたトークンを発行し、これがStellarネットワーク上で流通します。

このシステムにより、法定通貨の安定性を保ちながら、ブロックチェーンの利便性を享受できます。送金者は自国の法定通貨でXLMを購入し、受取人は現地の法定通貨で受け取ることができるため、暗号通貨に詳しくない一般利用者でも簡単に国際送金を行えます。

データからみるStellarの現状

Stellar(ステラ)は、国際送金や金融包摂を目指すLayer-1ブロックチェーンプラットフォームとして、個人や中小企業、発展途上国の金融アクセスを向上させることを使命としています。以下のオンチェーンデータと関連指標を基に、Stellarの特徴、プロジェクトの健全性、そして持続可能性を考えていきたいと思います。

オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。

価格チャート

XLM Price(USD)

2025年7月現在、XLMの価格は約67.71円(約$0.47)で推移しています。注目すべきは、2024年11月のトランプ大統領選勝利後の急騰です。2024年11月6日から24日にかけて、XLMはおよそ480%もの価格上昇を記録し、規制環境の好転期待が市場に大きな影響を与えました。

この急騰の背景には、暗号通貨に積極的な姿勢を示すトランプ政権への期待と、類似プロジェクトであるXRPの現物ETF承認期待があります。XLMはXRPと同様に送金に特化した通貨として、連動した価格動向を示す傾向があります。

また、2023年7月には、アメリカ地方裁判所におけるリップル社の裁判でXRP token itself is not a security「XRPは有価証券ではない」との判断が示されたことを受け、XLMも規制リスク後退の見方から24時間で60%近く急騰した経験があります。

さて、現在は割安かというと、高値圏ですね。。。直帰の急上昇ではATHを超えられず、反発してしまいました。またさらに高値を超えられるか試そうとしている状況でしょうか。

TVL

TVL(USD)

2024年11月まではTVLが$30mを下回っていました。しかし、リップルの裁判結果に呼応する形で急上昇しました。
そして、2025年6月には$87mに。7月にはさらに上昇し、現在は$145mになっています。
ペイパルとの連携など、色々な取り組みがTVLを押し上げる要因になっているのでしょう。このTVL上昇が実需に裏打ちされているのであれば、アカウント数も増えていると思われます。次はアカウント数を見てみましょう。

アカウント数

Total Existing Accounts

堅調に増加しています。これは既存アカウント合計値になります。なので、新旧アカウントが含まれている値です。
複数アカウントを作れる状態を考慮しても堅調に増えていると思います。
しかし、実際に経済圏としてXLMがやり取りされていなければブロックチェーンとしての将来性はないと言えます。
次は、実需があるかみてみましょう。

エコシステムの成長と利用状況

トラストラインは、Stellarウォレット間で特定の資産を取引または送金するために設定される接続です。この数値の増加は、ネットワーク上で新しい資産が利用される機会やユーザーのアクティビティが増加していることを示します。また、New Created Assets(新規資産)は、Stellar上で発行されたトークンやカスタム資産の数を示します。これは、開発者や企業がStellarを利用して独自の資産(例:ステーブルコインやRWA)を発行しているアクティビティを反映します。

このチャートは、Stellarが2019年以降急速に成長し、2025年までにトラストライン2,400万、資金提供トラストライン1,600万という規模に達する可能性を示しています。新規資産の安定と実用化が進む中、Stellarは金融インフラとしての地位を強化しています。ただし、未使用トラストラインの解消と新規資産の質の向上が、長期的な成功のカギとなるでしょう。

2024年2月20日、Stellarはプロトコルアップグレードによりスマートコントラクト機能「Soroban」をメインネットで正式に導入しました。このアップグレードにより、Stellarは単なる送金プラットフォームから、DeFiやその他の金融サービスを提供できる総合的なブロックチェーンプラットフォームへと進化しました。MoneyGramとの提携をはじめ、世界各地の送金サービスプロバイダーがStellarネットワークを活用しており、実際の経済活動においてその価値が認められています。

XLMを保有・運用する価値は!?

これまでの分析を総合すると、Stellarは単なる暗号通貨投資対象を超えて、「金融インフラの変革」という大きな物語の中核に位置する存在であることがわかります。では、なぜ今Stellarなのでしょうか?

まず、規制環境の改善が大きな追い風となっています。2025年1月には、暗号通貨に厳しい姿勢を示してきた米SECのゲンスラー委員長が退任し、より友好的な規制環境への期待が高まっています。これは、Stellarのような金融特化型プロジェクトにとって、機関投資家の参入や大規模な提携機会の拡大を意味します。

技術的な観点では、2024年に導入されたSorobanスマートコントラクトプラットフォームが、Stellarの可能性を大きく広げています。従来の送金機能に加えて、DeFi、NFT、分散型アプリケーション(DApps)の開発が可能となり、イーサリアムなどの既存プラットフォームとの競合が本格化しています。
Sorobanの設計思想は「パフォーマンス、持続可能性、セキュリティ」の3つの柱に基づいており、開発者にとって使いやすく、かつ実用的なアプリケーションの構築が可能です。Rustベースの開発環境は、高いセキュリティ性能と効率的なコード実行を両立させています。

将来的な展望として、最も注目すべきはCBDC(中央銀行デジタル通貨)との親和性です。Stellarの設計思想は、既存の金融機関との協働を前提としており、各国の中央銀行がデジタル通貨を発行する際の基盤技術として採用される可能性が高いと考えられます。

また、ESG投資の観点からも、Stellarは魅力的な選択肢です。ビットコインのような大量の電力を消費するマイニングを必要とせず、環境負荷が極めて低いコンセンサスメカニズムを採用しています。持続可能な投資を重視する機関投資家にとって、これは重要な評価ポイントとなるでしょう。

最後に、XLMを購入してステーキングできるオススメCEXを紹介します。

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