Avalanche

2025年6月8日

概要

アバランチ（Avalanche）は、Ava Labs社によって開発された高スケーラビリティ・高処理性能を備えたLayer 1ブロックチェーンです。2020年9月にローンチされ、Ethereumのようなスマートコントラクト機能を持ちながら、トランザクションの高速処理、低手数料、柔軟な設計が可能な次世代型プラットフォームとして注目を集めています。

Avalancheの最大の目的は、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題、つまり「処理速度が遅く、利用が集中すると手数料が高騰する」という問題を解決することです。これはEthereumなどの従来型L1チェーンが抱えていた課題でもあり、DeFiやNFTの普及により深刻化していました。

Avalancheでは、従来のPoW（Proof of Work）やPoS（Proof of Stake）とは異なる、革新的なAvalancheコンセンサスアルゴリズムを採用しています。さらにAvalancheは、単一のチェーンではなく、目的別に機能を分けた3つのビルトインチェーン（X-Chain、C-Chain、P-Chain）で構成されています。また、企業や開発者が独自のブロックチェーン（＝サブネット）を作成可能という大きな特徴も持ち、パブリック／プライベート問わず様々なニーズに応えることができます。

ネイティブトークンはAVAXです。

現在では、DeFiやNFTはもちろん、GameFi、機関投資家向けブロックチェーン、国家レベルのCBDC試験運用など、非常に幅広い分野での活用が進んでいます。特にサブネット機能を活用したプロジェクトが活発化しており、他のL1チェーンにはない柔軟性とカスタマイズ性がAvalancheの大きな武器です。

私個人としても応援したいプロジェクトの1つです。
何度かお会いしていますが、日本コミュニティの方は親切でシゴデキな方が多く、どうやったらマスアダプションできるかを真剣に考えています。

Avalanche公式サイト

特徴

仕組みとコンセンサス

Avalanche最大の特徴は、Avalancheコンセンサスと呼ばれる革新的な合意形成アルゴリズムです。従来のPoWやPoSに比べて、以下のような特長があります。

コンセンサス	概要	主な特徴
Avalancheコンセンサス	ノード同士が繰り返し部分的に投票し、最終的に全体合意に達する確率的アルゴリズム	高速（秒以下で確定）、高スループット、ネットワークの分岐が起きにくい
Snowmanコンセンサス	Avalancheを直列処理向けに最適化したバージョン	C-Chainなどのスマートコントラクトに利用されている

また、Avalancheは1つのチェーンではなく、以下の3つのチェーンで構成されており、用途に応じた最適な処理が可能となっています。

X-Chain（Exchange Chain）：AVAXの送受信、資産の発行に使う。
C-Chain（Contract Chain）：EVM互換のスマートコントラクトを実行。Ethereumと似た仕組み。
P-Chain（Platform Chain）：サブネットやバリデータの管理。

スマートコントラクトとサブネット

AvalancheはEthereumと互換性があるC-Chainを持っており、Solidityで書かれたスマートコントラクトがそのまま動きます。そのため、多くのDeFiやNFTプロジェクトが簡単に移行・展開可能です。

さらに、サブネット（Subnet）という独自の機能が特徴です。これは、特定のアプリケーションや組織向けに独自のブロックチェーンを立ち上げられる仕組みで、バリデータの設定や手数料、ガバナンスルールも自由に設計できます。
以下に例を示します。

例：
DeFi Kingdoms → 独自サブネットを持つGameFiプロジェクト
Avalanche Evergreen → 企業向けサブネットソリューション

これにより、Avalancheはパブリックチェーンとプライベートチェーンの中間に位置する柔軟な設計を実現しています。

データから見るAvalancheの現状

Avalancheは、独自のSubnet構造と高速処理性能で注目を集めていますが、その実態はオンチェーンデータを通じて初めて鮮明になります。

割安であれば購入したいところですが、現状のデータもきちんと把握しておく必要があるでしょう。

以下の観点からAvalancheのブロックチェーンの健全性・成長性を分析します。
オンチェーンデータは以下のサイトを参考にしています。

価格チャート

2021年11月21日にATHを記録した後、2022年4月6日から真っ逆様に下落。＄10〜＄20を1年半もうろうろしていました。
しかし、2023年10月19日を起点に価格は上昇し2024年3月中旬から下旬には＄50代後半にまで回復しました。
それも長くは続かず＄20代まで下落。2024年11月に再上昇するも3月の高値を越えられずに反発しています。

2023年以降の価格推移から考えると、現在の価格は割安かもしれません。

$19.7は割安

続いて、TVL、ネットワークの利用状況を示す指標などを見ていきます。

ネットワークアクティビティ：取引数とアクティブアドレス数

2025年第1四半期の取引数は前期比で9.4%増加し、3,900万件に達しました。これは、特にDAGと連携したGameFiアプリや、Subnet上で稼働するカスタムアプリケーションの活性化によるものです。
また、アクティブアドレス数は平均で日次13万件以上を記録し、ユーザー基盤の広がりを示しています。

アクティブユーザーの増加は、単なる投機ではなく実需に基づく利用が増えている兆候と見なせます。

ステーキング率とバリデーター数｜ネットワークのセキュリティ

AvalancheはProof of Stake（PoS）を採用しており、AVAX保有者はネットワークのバリデーターにトークンをステーキングすることで報酬を得られます。

2025年6月時点では、以下のようなネットワーク参加状況が確認できます：

ステーキング量：233,586,286 AVAX
ステーキング率：約50.6%
バリデーター数：1,367ノード
（出典：Avalanche Subnet Explorer）

これらの指標は、ネットワークに対するユーザーの信頼や、分散的なバリデーション体制を示しています。
特に1,000を超えるバリデーター数は、Ethereumや他のL1チェーンと比べても比較的分散された構造を持ち、ネットワークの健全性とセキュリティの裏付けといえるでしょう。

ステーキング率は中程度ながら、1,300以上のバリデーターにより分散性が確保されており、Avalancheはセキュアでスケーラブルなネットワーク運用を実現しています。

TVLとDeFiエコシステム

AvalancheのTVL（Total Value Locked）は2025年Q1末時点で約13億ドルと、前期比で14.7%増加しました。
特に、Lending系プロトコル（Benqiなど）と、Yield Aggregator（Yield Yakなど）が大きく貢献しています。
2022年頃に比べてしまうと低いですが、少しずつ回復しているようです。

現在のAVAX価格（1 AVAX = 20ドル）で換算すると、ネットワークセキュリティに対して数十億ドル規模の経済的インセンティブが働いていることを示しており、Avalancheが高いセキュリティを維持する基盤となっています。

まとめ

オンチェーンデータから見たAvalancheは、「ハイパフォーマンスなL1」だけでなく、「実際に使われ、信頼されているネットワーク」であることがわかります。Subnetを軸とした分散型アプリケーションの展開、ステーキングによる高い保有率、堅調なTVLの維持など、Avalancheは次のフェーズに向けて実需に支えられた進化を遂げているといえるでしょう。

価格が割安なのであれば保有してみるのもいいかもしれませんね。

最後に、AVAXを購入してステーキングできるオススメCEXを紹介します。